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JOY  作者: co
第9章・最後のホワイトレディ
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 一生友達でいるなんて、そんな単位を持ち出す人なんてそういない。

 少なくとも私には、先輩しかいなかった。

 この先60年一緒にいるんだと思えば、この1年ぐらいは我慢できる気がしないか?

 そう言われて、先輩に会えなかった1年を我慢できた。

 その言葉で、高校最後の1年を乗り切った。


 それを思い出して、浅井は首を振った。


 それも全部、私だけの宝物だ。

 宝箱にしまって、心の奥底に沈める。

 そのためにここから逃げるんだ。


 コースターの上にコンとグラスが置かれて

「大丈夫ですか?」

 とバーテンに訊かれた。

 はっと気付いて頷くと、シェイカーから酒が注がれた。


 このバーテンも、人に言わない宝箱を心の奥底に沈めてるんだろうか。

 だから君島君にも何も教えないんだろうか。


「バーテン君」

「……はい」

「君島君にどんなこと訊かれるの?」

「どんなこと?……何でもですが」

「何でも……。あ、そういえば家族のこととか友達のことも教えてあげないんだって?」

「普通誰でも必要のないことは教えないでしょう」

「そっか」


 そうかな。

 何かこう、頷けない気がする。

 もっと納得できる答えをバーテン君は持ってる気がするのに。


「でも、教えない必要もないじゃない」

「教えない必要」

 ちょっと屁理屈か……。

「だとしても、俺には教えなくてもいい権利はあります」

 浅井は笑った。私の屁理屈以上の屁理屈だ・・・

「そうよね。みんな自由なんだしね」

 そして浅井がため息をついた。

「そうよね。教えなくていい権利は確かにあるわよね」


 その後、バーテンが独り言のように、言った。




「どうせ、わかってもらえないし」




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