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JOY  作者: co
第8章・白とシルバーの店
80/130

 君島が立ち上がって浅井の前に立ち、まだ口を開けたまま目をまん丸にしている。

「ど、どうしたの!びっくりした!何、何で?あ、でも、似合う!すごく似合うよっ!うわぁ、びっくりしたぁ!」

 君島が頬を染めて驚いている。

「全然わかんなかったよ!って、あれ?会社は?」

「ん、さぼっちゃった」

「えっ!それでこんなに変えちゃったなんて、なんで?何かあったの?」

 君島の顔が一瞬で心配そうな表情に変わる。


 ……嬉しい。

 心配されるのが嬉しくて、やはり笑顔になる。

「ちょっとね。むしゃくしゃしたの。だから思い切ってね」

「もしかして彼氏と何かあったの?」

 鋭いというか、まずそう考えるのが普通よね。

「あったというかなかったというか、多分ね、彼とは何もないの」

「ん?」

「違ったみたいだから、もういいのよ。切り替えるためにね」

「そうなの?僕はお似合いだと思ったんだけどなぁ……」


 そうだったわね。

 私たちを最初に認めてくれたのが、あなただった。


「でも、しょうがないんだね。あなたはもう割り切ってるんだね」

「え?そう思う?」

「うん。花の香りがするから」

「え?」

「香水だよね?だって今まで香水の香りなんかあなたからしたことないもん。

 落ち込んでたり悲しかったりしたら、わざわざ香水なんか付けないかなぁって思っただけ」


 浅井は目をくるりと回して考えた。


 選んだ香水を、実際にお試しください!と店員に手首に吹き付けられて、少し首筋にも擦り付けた。

 それだけのことだったのに、そういう受け取り方をされることが面白かった。


 これは先輩の香りだから多分それも間違いではないのだと、やはり笑顔で頷いた。



「ところであのバーテン君は元気なの?」

 すると君島がわずかに言い澱んだ。

「ん?浩一?うん……。あれから会ってないけど……」

 そして君島は体の向きを変え、腕を伸ばして何かを指差した。

「あそこ、見える?木の下のベンチに一人で腰掛けてる人、いるよね?あれ、浩一」

 浅井も顔を向けた。

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