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JOY  作者: co
第8章・白とシルバーの店
79/130

 浅井は母校に向かっての道を久しぶりに歩いた。

 多分ここを歩くことももうない。

 私はまた、逃げるから。そう考えながら。


 しばらく歩くと、大学のグラウンドがある。

 その手前に小さな公園があった。


 夜になったらジガーレイに行こうと思っていた。

 バーテンに領収書をもらうのだ。

 それは君島に会えるフリーチケットだと、あの時思った。

 多分もう彼らにも会えなくなる。

 私はまた、逃げるから。


 ため息をついて公園に入った。

 俯くと首が寒い。

 肩をすくめてぐるりと公園を見回して、

 小さな子供とお母さんがブランコで遊んでいて、その向こうにベンチがあり、



 そのベンチに君島が座っていた。



 浅井は目を見開いて、しばらく目を疑った。


 君島はじっと大学のグラウンドを眺めていた。

 浅井はその横顔を口を開けて見つめた。


 この街は決して小さくはない。それなのにこの子には何度偶然出会うんだろう。

 ん?違うかな?最初と、今回だけかしら?でも何度偶然会っても怖くなんかないわ。

 私、この子好きだし。でも好きだと言うと嫌われるから言えないんだけど。

 そう思い出した時に、吹き出した。


 それを聞いて君島が振り返った。

 そして首を傾げてしばらく浅井を見つめた。

 あまり長いこと見つめるので気付いた。


 私だとわからないんだ!


 浅井は可笑しくて、笑いながら訊いた。


「君島君、もう三日酔いは大丈夫?」


 君島は目を丸くしてしばらく考え、あ、と言ってから、

「あっ……!え?浅井さんっ?!」

 と声をひっくり返した。

 それが可笑しくて浅井はさらに笑った。

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