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JOY  作者: co
第8章・白とシルバーの店
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 三日断食したぐらいで餓死はしない。

 そのぐらい、浅井はよく知っている。


 毎晩大沢が外から呼びかけてくる。

 毎晩毎晩。

 とうとう明日はドアを蹴破ると言っている。


 浅井は餓死どころか熱も下がり回復傾向にあった。

 丈夫な体だ。

 体の回復と反比例して心が沈んでいった。


 寂しくて胸が痛い。

 誰もいない。

 先輩がいない。

 だから餓死したいのに、できない。

 大沢君は許せない。

 それなのに毎晩外から呼びかけられて、浅井は嬉しかった。

 心細かったから。

 誰でもよかった。

 誰かにいて欲しかった。

 だけど大沢君は許せない。

 許すわけにはいかない。

 それなのに明日踏み込まれたら、拒絶する自信がない。

 先輩じゃないのに。

 あんなことした大沢君を許せるはずがないのに。

 それなのに。


 耐えてきたのに。

 これまでだって耐えてきたのに。

 大沢君さえいなければ耐えられるのに。


 浅井は頭を振って、決めた。


 明日は外出する。

 大沢君には会わない。

 勝手に踏み込め。

 私は消える。



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