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JOY  作者: co
第7章・赤の塊
73/130

 朝まで風呂場にいて、浅井は風邪をひいた。

 当たり前だ。そう簡単に凍死なんか出来ない。

 何度もチャレンジしている。できた試しなんかない。


 朝鼻声で会社に病欠の連絡を入れた。それっきりベッドの上。

 これなら餓死できるか?無理。できた試しはない。


 先輩のところには行けない。


 先輩のところには行けない。


 独りだ。

 独りだ。

 独りだ。


 熱があるから心細い。

 こんな時には絶対人に会わない。

 頼ってしまいそうだから。

 先輩じゃないのにすがってしまいそうだから。


 浅井はベッドの上で寝返りをうつ。


 独りだ。

 私は独りだ。



 チャイムが鳴った。

 誰かがドアを叩いた。

 そして「浅井さん!」と叫んだ。

 大沢君だ。

 絶対嫌だ。

 絶対会わない。


「浅井さん!大丈夫ですか!」

 すぐそこにいる。

 寂しい。

 でも絶対会わない。

 先輩じゃないのに


「風邪ですか、浅井さん!」

 やめてよ。

 昨日私に何したの?

 絶対嫌だ。

 苦しい。

 寂しい。

 先輩じゃないのに。


「浅井さん!」

 寂しい


 浅井は耳を塞いで布団を被った。




 次の日も大沢は浅井の部屋を訪ねた。心配なのでお茶とおにぎりを買って、またドアに向かって呼び続けた。

 前日と同じように返事がなく、買って来たものはドアノブに掛けて、せめてこれだけでも食べてくださいと言って帰った。

 次の日、それはドアノブに下がったままだった。

 ドアを叩いて、叫んだ。

「明日、ここ開けてくれないんだったら、蹴破るからね!」

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