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JOY  作者: co
第7章・赤の塊
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 翌日、仕事をしながら大沢は時間が空けば浅井と栗尾に携帯をかけたのだがどちらも留守電に繋がった。

 勤務時間はとらないかもしれないと、定時過ぎてから会社に完了報告の電話を掛けた。定時過ぎであれば浅井が取る可能性が高いと思ったのだ。

 ところが取ったのは栗尾だった。しかしそれもちょうどいいと思い、大沢が言った。

「緑区の鳴海、完了しました」

『田村設備さんですね。ご苦労様でした』

「あの、栗尾、昨日は、」

『明日の東区、よろしくお願いします』

 それだけ言って、栗尾が電話を切った。


 栗尾が怒っている。そりゃそうだろう。そんなことはいい。

 どうして浅井さんじゃない?この時間はいつも浅井さんが電話をとるはずなのに。

 もしかして、出社してない……?


 大沢はバタバタと後始末をして、速攻で会社に戻り、そのまま浅井のアパートに向かった。


 浅井の部屋に明かりはついていない。新聞受けにも何も入っていない。

 やはり出社していて、まだ戻ってないのか……?


 チャイムを押す。返事はない。

 ノックをする。返事はない。

 電話をしてみる。また留守電。


 ため息をついてまた昨日と同じところにずるずると座り込む。

 そして、気付いた。

 昨日の自分の足跡があちこちにある。昨日はずいぶん靴が汚れていたからまだ足跡が残っている。

 しかし、その上に浅井さんの足跡がない。

 浅井さんはここを出ていない!


 立ち上がり再びチャイムを押した。何度も押した。浅井さん!と呼びかけもした。

 そのうち部屋の中から咳が聞こえた。

 いる!この暗い部屋の中にいる!


「浅井さん!」

 ドアを叩いて呼びかけた。

 大丈夫ですか、風邪ですか!

 大声で呼びかけた。


 返事は全くなかった。


 大沢はまたドアにもたれて座り込んだ。

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