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JOY  作者: co
第5章・ライムグリーンの悪魔
53/130

11

「一万……って、お金?!お金取るの?浅井さんから?!やめてよ浩一!なんてことするんだよ!」

 君島が表情を一変させて、バーテンに怒鳴った。

「俺がボランティアでこんなことするわけないだろ」

 バーテンは表情を変えず、低い声で言い捨てた。

 君島は次に浅井を向いて、同じ調子で言った。

「だって、浅井さんだって、浩一のこと知らないんでしょ?それなのになんで、」

 浅井もバーテンを見習って、冷静に答えた。

「知らないからお金で乗せてもらったのよ」

「だってそんな、僕が行くって言ったのに、」

 また君島の表情が変わる。今度は自責に眉をひそめた。

 浅井が少し笑った。この顔を利用しようと思いついた。


「あ、そうね。この一万円の出費は君島君のせいだわね」

 君島が口を噤んだ。

「一万円分、君島君は私に負い目があるのよ。いい?」

「負い目って……?」


「あのね。あなたから勝手にサヨナラなんて言わせないわ。いい?」

「……」

「だって私のせいじゃないでしょ?私が悪いんじゃないもの。それなのに勝手なことされちゃ困るわ。わかった?」

「……」


「また電話するし、とらなかったらここに来るから」

 顎を上げて、笑顔で君島を見下ろした。

 君島は唇を尖らせて俯いた。


「うん。これで用は済んだわ」

 浅井が笑って見上げると、バーテンが頷いて黄色のヘルメットを渡した。

「君島君、これ借りるね」

「浅井さん……」

 君島が呟いた。


「バイクの後ろでも気をつけて乗ってね」

 バーテンが振り向かずにまた言い捨てた。


「そのためのヘルメットだろ」

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