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JOY  作者: co
第5章・ライムグリーンの悪魔
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 むくんでまぶたも腫れて子供のようなその顔に、Tシャツから覗くアンバランスな太い筋肉質の腕。

「え?あれ?なんで?僕、」

 その高い声からは想像もつかない土曜日の獣のような姿。

「なんで、来たの?」

 でもやはり寝起きの子供のような、今にも泣きそうな情けない君島の顔。


「返しに来るって、言ったじゃない」

 腹が立ってきた。

「待ってたのよ。ともだちだって、言ったわよね?」

 腹が立って、涙が出そうだ。

「言いたいことだって訊きたいことだってあるのよ。それなのに、来てくれないなんて」

 涙が出そうだ。

 浅井はそれ以上続けられずに俯いた。



「だってさぁ……」

 君島が呟いたので浅井も顔を上げると、君島はとっくにサメザメと泣いていた。

「僕だって好きでこんな顔なんじゃないのに」

 あ。

 と、浅井の涙が引っ込んだ。

「僕のせいじゃないのに」

 君島の目からはぽろぽろと涙が落ちる。

「いつまでもこの顔で差別されるんだ」

 美しい泣き顔なので、悲しさが倍増されている気がする。

「いつでも、ばかにされるんだ」

 こんなにも美しい子に涙を流させるなんて……。

 浅井もつい慰めようとして、君島く、まで言いかけた。

 それと同時に、低い掠れ声が響いた。



「まだ言ってんのか。いい加減正気に戻れ。鬱陶しい」



 それを聞いて君島が枕に顔を埋め、一層高い泣き声で言った。


「ひどいでしょ!全然いたわってくれないんだよ!こんなに友達が泣いてんのに!」

「ともだちじゃない」

「こんなことまで言うんだよ!ひとでなし!」

「なんとでも言え。俺は充分迷惑をかけられた。もうたくさんだ」


 え……。それはひどいんじゃないですか?

 浅井はどきどきして、いつの間にか後ろに立っていたバーテンを覗き見た。

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