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JOY  作者: co
第4章・枯葉の公園
38/130

「僕を好きって言う人は、たいてい僕の顔が好きなんだ。

 違うって反論されてもだめなんだよ。僕がそう思いこんでるからね」


 あら。私も好きよ。


「だから、好きって言われるだけでもう信用できない。

 僕の中味が好きだって言われても信用しない」


 あなたの中味も好きよ。


「相手に悪いとも思わないしね。

 僕を好きだっていう相手は信用しない。

 僕がそう決めた」


 あら。


 浅井は心の言葉を全部飲み込んだ。


「だって、僕は自分の顔が嫌いなんだ。

 その嫌いなものを好きだって言う人と、気が合うはずないよね」


 あ。なるほど。


「僕がそう決めた」


 笑う君島を見て浅井はまた苦笑した。

 それならどうして、信用しない相手と付き合ったりするの。

 その質問も飲み込んだ。


 君島君には笑っていて欲しい。

 特に今は。

 思った以上に複雑な男の子。

 同情なんかしないけど、余計なことで傷付いて欲しくはない。

 こんなにも綺麗な笑顔を持っているんだから。


 ……って言うと、嫌われるのね。

 気をつけよう。


「もうすっかり寒いね。枯葉も落ちちゃってるね。

 ね、ちょっと早いけどご飯食べに行かない?鍋」

 君島がベンチを立ち上がって言った。

「鍋?」

「寒いから」

「鍋ねぇ~。そういえば会社の近くに美味しいところがあるわ」

「そこ行く。決まり。って、浅井さんってどんな会社に勤めてるの?」

「え?あれ?言ってなかった?って、そういえば君島君だってどこの大学?」

「あれ?言わなかった?大学じゃないよ。看護学校」

「あら!看護師さん?」

「の卵」

「え~!初めて聞いた!」

「浅井さんは?」

 二人で歩きながら、あそこのコンビニの向かいのビル5階にあるオフィス、と指差す。

 そのコンビニで右に曲がって5分歩くと、美味しい鍋屋さん。

「こっちの方は来たことないよ。穴場だね!」

「オフィス街だもんね。あんまり知られてないかもね」

 そうかぁ~!じゃあ今度友達に教えよう!

 ん?数少ない友達に?

 そうそう。


 二人で笑いながら引き戸を開けて、元気な声に迎えられた。

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