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JOY  作者: co
第3章・琥珀のバー
31/130

11

 その浅井を、店から出てきた大沢と、それについてきた栗尾が見ていた。

 そして浅井が振り返って店に戻る前に立ち去った。


「浅井さんって、年下が好みなのね。大沢君も気をつけなきゃ!」

 二人のことを知っていて、栗尾が警告する。

「でも若いってだけで好みに全然共通点がないのよね。大沢君だって若いんだから毒牙にやられちゃうわよ!」

 鬱陶しいな、と大沢が言いかけた時に、栗尾が声を潜めて続けた。


「でも、気持ちはわかるわよ。だって最初の彼と不幸な別れ方したじゃない?もう年上が怖いって思ってもしょうがないのよね」



 探偵に頼んでいた浅井の調査がこんなに早く届いたのは、新聞に名前が載っていたからだ。

 生まれ故郷での詳細な調査はまた後になるが、今回の報告だけでも浅井の衝撃的な過去が明らかになり、栗尾は満足していた。

 ただ少しの嫉妬は感じていた。

 悲劇のヒロインのような物語に。


「情熱的だったのよね。浅井さん、若い頃は」



 大沢は驚いていた。

 自分には内緒と言って隠した過去を、栗尾には伝えている?


「浅井さん、今でも好きなんだと思うわ。だって今でもその時の彼の話、よくするもの」



 もちろん嘘だ。浅井は過去の話を一度もしたことがない。

 こんなに激しく美しい過去を持ちながら、一人で秘めている。

 そのことすら美しい。


 そして栗尾にはそれが許せない。

 その自己陶酔をぐちゃぐちゃに踏み潰してやる。




 大沢を別の店に誘い、栗尾は滔々と浅井の過去を物語った。

 それを拒む勇気は、大沢にはなかった。

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