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JOY  作者: co
第3章・琥珀のバー
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 しばらく歩いて到着したのは、繁華街から少し離れた街角の小さな一軒屋。中のライトが暗いせいか窓が琥珀色に見える。

 ドアを開けると暗い店内に小さく鈴が鳴る。いらっしゃいませ、と確かに中々の男前が案内に来た。

「カウンターに行きましょうよ!」

 と突然後ろから栗尾が浅井の腕を掴んで、ぐいぐいと進んでいった。

 浅井は少し戸惑ったが、きっと酔っているんだろうな、と歯向かわずについていった。

 大沢もその後ろを追った。


 店が小さいせいもあるのか、結構混んでいて席がそんなに空いてない。

 ダーツのコーナーもあり、椅子のないスタンド席もあるので立っていてもいいようだ。

 カウンターは2席しか空いていない。大沢があぶれた。

 浅井もさすがにこの席を大沢に譲る気はなかった。そこまでお人よしじゃない。

 一次会で大沢が栗尾とずっとしゃべっていたことが、やはり浅井は面白くなかった。

 この店にきてまでそんな姿を見せられなくてもいいでしょ。

 浅井はそう思っていた。



 大沢も腹を立てている。

 そんなにカウンターがいいのか?俺を立たせたままでも?

 大沢は少し酔っていて、いらいらしていて、よく考えれば浅井に原因はないのに、腹を立てていた。

 そして少し位置が高いスタンドテーブルに腕を乗せて、目当てのバーテンを探した。



 カウンターの中には店員が二人いて、一人は接客中。

 一人は横の作業台でオレンジを切っているところ。

 そのオレンジを切っているメガネの店員が、かなりの長身だった。

 恐らく、彼。

 切ったオレンジをグラスの口に差し、トレーに載せてフロアから戻ってきたイケメンに渡した。

 それから新たな客3人の顔を確かめるように眺め、

「ご注文は?」

 と言った。

 低い、掠れた声だ。

「私、スクリュードライバー!」

 栗尾が、ついさっき彼がオレンジを差したカクテルを簡単に頼む。

「ホワイトレディ」

 浅井もいつもの好みを口にする。

 大沢が口を開かなかった。

「お客様は?」

 バーテンが催促した。大沢はしばらくバーテンを睨んでから、言った。

「ビール」

「バド、クアーズ、ハイネケン」

「クアーズ」

「はい」

 バーテンが頷いた。

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