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JOY  作者: co
第3章・琥珀のバー
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 金曜日の夜は本社上げての忘年会が開催され、下請け業者もほとんどが参加した。

 大沢も出席したのだが、くじ引きの席が栗尾の隣だったのでまたしても栗尾に独占された。

 同じく参加していた浅井もさすがにそれは気にはなったのだが、まさか文句を言うわけにもいかない。

 それに、この場でこの前のように二人で話してもきっと盛り上がらないだろうし。

 そんなふうに考えて浅井はなんとか納得する。


 居酒屋での一次会が盛況に終わり、年配の上司たちと共にいつもなら浅井はここで離脱するのだが、

 次はみんなでジガーレイに行くんですけど、浅井さんも行きませんか~?

 と、同僚に誘われていてぐらついていた。

「ほら、この前のバイクの!覚えてないですか?」

 と言われるまでもなく、浅井はジガーレイと言う単語もしっかり記憶していた。

 まだ早いですし~!行きましょう行きましょう!と腕をとられ、しょうがないわね、と了承した。




「あ。やっぱ浅井さん、行くんだ」

 栗尾が大沢に聞こえるように呟いた。

「見かけによらず、浅井さんってすごいのよね」

 呆れたように首を傾げて笑ってみせた。

「すっごい若い子と、最近毎日会ってるんだって。なんか、子供みたいな子?それなのに次はバーテンなのね。物足りないのかな?」

「知るかよ」

 面白くない大沢は、はき捨てるように答えた。

「多分、名大ってとこがツボだったのね。おばさんは若さと学歴にこだわるの!」


 栗尾は大沢の学歴コンプレックスをよく知っていた。

 人の弱味を探り当てる能力は天性のものがある。

 そしてそれだけではなく、興信所の探偵と付き合いがあり、頼めば軽く調査してくれる。

 その探偵によれば、大沢の周囲は結構高学歴の人が多く、大沢だけがぽつんと高卒の資格すら持たない。コンプレックスを持たざるを得ない環境にいるのだ。


 そして、軽く浅井の調査も済んでいた。


 浅井は大沢のコンプレックスを充分刺激する経歴を持っていた。




 すっごい若い、子供みたいな子、とは多分、あの時の小僧だろう。

 大沢はいらいらしていた。

 あの時の小僧と会うのはしょうがない。

 腹は立つが、ある意味あの小僧が実際俺たちのキューピッドだった。それは認める。

 それだけのことなら会うのはしょうがない。

 しかし、この後のバーは、余計だろ。

 あのバーテンは、余計だろ?


 ただ見かけただけの男に興味持つの?浅井さん。


 大沢はそんなふうに、いらいらしていた。


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