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JOY  作者: co
第3章・琥珀のバー
23/130

 会社帰りに浅井は、赤の毛糸と編み物の本を買った。

 クリスマスまではそう時間がないので、マフラーくらいしか編めないだろうと思う。

 昔から編み物は好きなので、当分これに掛かりきりだと思うだけで嬉しかった。


 そして一人で街を歩きながら、君島のことを思い出していた。

 携帯の番号を訊きだした日に、帰ってからすぐに電話したのだ。

 しかし取ってもらえなかった。次の日も。その次の日も。そして今日もこれから掛けようと思っている。

 というか、掛けなおしてよ、と思っている。


 そう思っていたその時、携帯が鳴った。

 歩きながらしゃべるのが苦手なので、歩道の隅に寄って立ち止まり通話ボタンを押して耳に当てた。

 すると後ろから、「もしも~し」と聞こえた。

 笑って振り返ると、予想通り君島が右手を上げて立っていた。


「何度も電話したのよ!」

「うん。知ってる。何度も電話もらったよ」

 今日も白いダウンジャケット。相変わらず天使のように輝く笑顔だ。

「なんだかよく会うわよね。もしかしたら今までもよくすれ違ってたのかしら?」

「それはないよ」

 君島が浅井の腕をとり、歩き出した。

「だって最初に会ったのがこのあたりだったから、ここで待ってたらあなたに会えるってわかってたし」

 浅井がちらりと君島を見た。

「あら。待ち伏せしてた?」

 ふふ、と君島が笑った。

「してない。たまたま通りかかったら、あなたがたまたま歩いてたから電話したの」

「そう。じゃあ私たちは相性がいいのかもね」

「そうだね。結構運命的な出会いかも知れないね」


 笑いながらふざけた会話を続けていたが、それをまたしても同僚事務員が聞き耳を立てていた。

 それに気付かず、二人は近くの喫茶店のドアを開けた。


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