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JOY  作者: co
第13章・アイボリーの母
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「てか浅井さん……。昨日今日の付き合いはないでしょ……」

「……だって栗尾さんが妊娠してるとしたら何ヶ月も前のことってことじゃない。その頃のことは知らないし……」

「何ヶ月前だって栗尾と付き合ったことなんかないって」


「じゃなんで刺された?」

 田村社長が訊いた。

「……俺が聞きたい」

「じゃあ誰に何を訊かれても大丈夫だな」

「はい?」

 田村社長がドアを開けて入ってきた相手を睨みながらいった。

「お前はただの被害者なんだ。そう言ってやれ」


 入ってきたのは、浅井の会社の社長。田村社長の元請け会社の社長だ。


 長身で痩せている田村社長とは対照的に、恰幅のいい体をダークスーツに納めている佐々木社長。厳しい目付きだけが似ている二人の社長。


 浅井は無意識に、包帯を巻かれている腕に手を当てた。

 自分もただの被害者ではあるけれど、加害者の栗尾がこの人の姪らしい。

 大沢と自分が違うのは、自分はこの社長に雇われている社員だということ。

 体の傷ではなく、姪の履歴と名誉を傷つけることになったのは、自分の存在に間違いない。

 雇用主として社員の私を罰する権利はこの人にあるのではないだろうか。


 やはり、大変なことだ。

 浅井は目を閉じた。

 自分たちは悪くないと、言い続けられるだろうか。


 そして佐々木社長の声がした。


「田村、大沢君の具合はっ……?」



 呼び捨て?浅井は驚いて佐々木社長を見た。


「昏睡状態。今晩が山」

 田村社長の嘘に大沢が慌てて声を上げた。

「大丈夫です!手術終わって、麻酔も切れたところで、痛いですけど無事です!」

 その声に佐々木社長も慌ててカーテンを開けて大沢を見下ろした。

「良かった……。本当に良かった。田村、ふざけるなよこんなことで!」

 田村社長は、しれっと答えた。


「俺だってさっきまでそうなるんじゃないかって不安だったんだ。お前の姪がやったことだろ。お前に責任があるんだ」


 お前……!

 この二人の関係って……?


 浅井は二人の顔を交互に見ていた。

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