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JOY  作者: co
第1章・キャメルの天使
12/130

11

 ええええええ~~~~!!!!!!

 浅井の甘い涙は一瞬で引っ込んだ。


「なんで泣いてるんですか?」

 大沢が心配そうに訊いてきた。

 え~~~~~どうしよう……!答えられるはずがない……!

「あの、もしかしてさっきの栗尾の言ったことですか……?」

 やだ~~~~!そんなことで泣かないし~~~!バカにするな~~~~!!

「すいません、俺、」



「勝手によそのテーブルに来るなよ」

 酔っ払った君島の声がした。それを無視して大沢が続けた。

「栗尾、悪酔いしてるんで、気にしないでいいっていうか、」

「こっちのことに口を挟むなって言ってんだよ!」

 君島が怒鳴った。


「だいたい何だよ!あんなこと言わせっぱなしにしておいて!てか全然浅井さんに当てはまらないし!」

 浅井は驚いて顔を上げた。そして大沢は君島を見下ろして、諌めた。



「君、女の子でしょ。ちょっと言葉が乱暴じゃないの?」



 なんだと!と君島が椅子を倒して大沢に向かおうとした。

 言っちゃったぁ……と浅井がため息をついて立ち上がり、教えた。


「失礼よ、大沢君。男の子なんだから」


 大沢が沈黙しているうちに、君島も立っていることだしこのタイミングででましょう、と浅井がバッグを持ち上げた。

「帰ろ、君島君」

「……うん」

 浅井には周囲がよく見えないので、君島が浅井の手を掴み先導しようとした。


「あっ、浅井さん!」

 大沢が浅井の空いている方の手を掴んだ。

「おっ、男ってなんすか!誰ですかこいつ!」

「こいつって言うな!さっき知り合って気が合ったから楽しく飲んでただけだ!」

 間髪入れずに君島が答える。

「ナンパすか?!!」

「ナンパだよっ!!」


 えええええ~~~~????そうだったのぉ~~???

 また浅井は笑い始めた。


「なんでですか!今日だって断っておいて、」

「あ、君、断られたんだ?じゃ振られたんだろ!気付けよ!」

「俺一人じゃない!会社の飲み会だ!」

「じゃあ一人で誘わないお前が悪いんだろっ!」


 君島が浅井の腕を握る大沢の手を払った。


「行こう!浅井さん!」

 君島が浅井の腕を掴み、早足で立ち去ろうとした。

 浅井は一度大沢を振り向き、やっぱり見えない、と笑った。


 大沢は一人立ち尽くしていた。

 自分の腕を払った君島の力が思ったより強かったことと、浅井が最後に向けた笑顔で動けなくなった。




 そんな顔するんですか、浅井さん……。

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