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JOY  作者: co
第13章・アイボリーの母
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「もし、栗尾さんが妊娠してたとして、」

 浅井が呟いた。

「違うって、浅井さん!」

 田村が遮るのを、首を振って抑えた。


「もしね、栗尾さんが言ってるように大沢君の子供がお腹にいるとして、それでどうして私たちが刺されなきゃならないの?」

 それも聞こえないように、大沢の母が続ける。

「うちの聡がお嬢さんも浅井さんも傷つけたんだもの……。どんなに謝っても……」



 逃げるな

 自分に逃げるな



「大沢君は悪くないです」


 わかった。先輩。やっとわかった。


「もし大沢君の子供を妊娠してるんだとしたら、大沢君を刺した栗尾さんが悪い」

「それ……でも、」

「だって、お腹の子のお父さんでしょ?」

「……!」

 大沢の母が絶句した。


「大沢君が悪いんじゃない。刺されたんだから、刺した栗尾さんが悪いの」

「それでもこの子が、あなたのことも騙して、」

 浅井が首を振った。

「そうだとしても、刺した栗尾さんが悪いんです」

「この子は……」



 自分が悪いのだと、自分の息子が悪いのだと、責めを内に向ければ誰からも攻撃されない。

 自責の壁は、弱者の要塞だ。

 最強の要塞だ。


 しかしそれはそのまま、潰れる。

 そこからは抜け出せない。


 だから、そっちに逃げないで。

 自分を責めないで。

 自分に逃げないで。



「大沢君は、何も悪くないです」



 そういうことだったんだね、先輩。



「どんな事情があったって、刺したのは栗尾さんです。大沢君じゃないんです」

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