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JOY  作者: co
第11章・錆色の狂気
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 突っかかるような物言いをする女性警官を、男性警官が名前を呼んで諌めた。

 女性警官はため息をついて、また訊いた。

「何があったのか、教えてください」


 しかし浅井は、ほとんど何も見ていない。

 気付けば自分の肩を裂かれて、脇にカッターナイフを刺された大沢がいた。

 それだけなのだ。

「あなたの肩を切りつけたのは誰?」

「わかりません」

「では、大沢さんを刺したのは誰?」

「わかりません」

 女性警官はまたため息をついた。


「目撃者も多数いますし、容疑者も逮捕されてますのでお教えしますが、栗尾萌23才があなた及び大沢聡を突然カッターナイフで切りつけたんです」

 男性警官が言った。


 確かに、あの時横に栗尾が立っていた。

 向かいの席に座っているはずなのに、とあの時一瞬思った。

 栗尾さんが、逮捕……。

 砂利の音は、カッターの刃を出し入れする音だ。


「動機はわかります?」

 また女性警官が訊いてきた。

 浅井は首を振った。


「切られる覚えはないということ?」


 え?と浅井が顔を向けた。

 佐藤!とまた男性警官が女性警官を諌めた。


「知らない可能性だってあるだろ!お前の感情は抑えろって言うのがわからんか!」


 男性警官は小声で言ったが、全部聞こえていた。


 しかし、浅井は男性警官の後ろの、カーテンの隙間に、目を奪われていた。



 世界が真っ暗になった気がした。




 グレーのスーツを着た、母が立っていた。

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