表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JOY  作者: co
第11章・錆色の狂気
103/130

「土曜日の飲み会にお前来なかっただろ?栗尾から全部聞いたよ。だからそこにいたやつ全員知ってんだぞ。お前最低だ。栗尾の妊娠知ってから浅井さんのところに入り浸ってるんだってな?なぁ?他の女のところに逃げたって腹はでかくなるだろうよ!」

「待て!!!んなわけねぇだろっ!!俺栗尾となんかやってねぇよっ!ガキなんかできるわけねぇだろっ!!」

「まだ逃げんのかお前!」

「逃げるって何だ!何でお前栗尾の話を信用してんだよ?!俺ずっと浅井さんのところに行ってたんだ!いつ妊娠するんだよ?!」

「あっ……それは、その前なんだろ?」

「前っていつだよ?妊娠って何ヶ月だよ?!俺がいつ栗尾とやったってんだよ?!」

「あぁ……、あれ?」

「あれじゃねぇよっ!何だよその話は!」

「……栗尾が……」


 大沢の背中がぞくりとした。


「え?まじであれ、栗尾の嘘?いや、嘘言ってる顔じゃなかったぞ?てか泣いてたし、俺だっててっきりお前が……」


 大沢がトラックの鍵を田村に渡した。

「悪い。代わりに現場運転していって。俺あとでバンで合流するから」

「何?お前、」

「本社行く!」

 大沢がキーボックスからバンのキーを外して走り去った。

 田村はしばらくそこに立ち尽くして、今の会話を反復していた。

 そして、何を信じたらいいのかわからなくなっていた。

 自分自身が一番信じられないと思っていた。



 大沢もバンを運転しながら、田村の話を反復していた。

 繰り返すたびに恐怖が募った。

 田村でさえ信じてしまう栗尾の話を、「そこにいたやつ全員」が信じたとしたら、今浅井さんはその全員に囲まれている。

 そして当の栗尾がそこにいる。

 それが一番、怖い。


 栗尾は狂っている。

 浅井さんはそれに勝てない。


 浅井さんは、強くはない。自分はそれを知ったばかりだ。いつでもぎりぎりで一人で立っている。

 もう傷つけたくない。

 間に合うだろうか。

 守れるだろうか。


 大沢はアクセルをベタ踏みした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ