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JOY  作者: co
第10章・ショコラブラウンのジョイ
100/130

10

 とりいそぎ大沢はトランクスを穿いて、Tシャツを下ろし、パーカーを羽織りなおした。

 そして浅井を見上げると、着崩れもせずにすっきりと立っている。

 やはり大沢は少し腹が立った。

 俺をこんな格好にさせて、自分は全然変わっていない。

 おまけに、可愛いとか言われて。

 大沢も立ち上がった。


「コーヒー入れる?」

 そう訊いた浅井を大沢が後ろから抱いた。

「いらない」

 そう言って首に唇をつけた。

「髪、染めたんだね」

「そう、チョコの色」

「花の匂いがする。香水?」

「あれ?まだ残ってる?つけたの夕方なのに」

「この匂い……」

 あの夜、外に匂ってきたものと同じだ。

「バラの香水」

「バラなんだ」


「ジョイって名前」


「……洗剤?」

「そういうこと言わない!」

 笑う浅井の首に唇をつけたまま、上着に手を滑り込ませて素肌を抱いた。

 スカートの下から手を入れると、あ!と浅井が座り込んだ。

「何?浅井さん?」

 大沢がしゃがんで訊くと、

「さっき下全部脱いじゃったから……」

 と答えられて呆れた。


「知ってるよ。てか俺なんかさっき全部脱がされたんだよ?」

 そして大沢はため息をついて、座り込んだ浅井を抱き上げ、

「寝室どっち?」

 と訊き、指さした方に浅井を運んだ。


 ベッドの上に浅井を置いて、改めて服を脱がしにかかった。

 自分で脱ぐという浅井を押さえつけて、無理やり脱がせた。

 そして、宣言した。

「この後、俺に触らないでよ。分かってると思うけど」

 浅井はわずかに絶句してから、反論した。

「そんなの、おかしいわよ!だって先にそういうことしてきたのは大沢君でしょ!」

「だってさっき、俺を可愛いって言った。俺は、可愛くないよ」

「え?なにそれ?」

 浅井が反論する前に、大沢はもう始めていた。



 二人は、二つの夜と二つの昼をほとんどそのベッドの上で過ごした。



 ジョイは先輩だけの香りじゃなくなった。

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