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CHANGE the WORLD  作者: 清泪(せいな)
IV

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33/57

15 国の事情とギルドの仕事

 会計を済ませ、アルベッツステーレを後にする。

 外に出て通りに出ると、夕陽が街並みをオレンジへと染めていた。

 まったく知らない場所でも、こうした景色は変わらず見られるのだなと、武志は感慨深げに目を細めた。

 夜が迫る時間帯にもかかわらず、街の通りは多くの人で賑わっていた。


「さっきの店の中もだけど、随分人が多いんだな、この街は。街の広さも相当だし、この街がこの国の主要なのか?」


 ノールたち三人は先に宿屋へ向かっており、武志の質問には隣を歩くヴィンドが答える形となった。

 自己紹介では護衛役と名乗っていたアースカは、常にヴィンドの横に構えているわけではないようだ。


「主要になった、と言うところですかな。デトハーに入る前に説明しましたが本来この国の心臓部でありました王都グローダは戦争準備にと閉ざされてしまってまして。国の防衛や商業は、このデトハーに集中することになりました」


「商業はともかく、防衛もなのか?」


「さようで。戦争準備に王国兵士はかかりきりでございましてな。魔物退治などの周辺警備には、もともと各地で自警団として活動していた者たちがギルドを設立し、国防の一端を担っているのです」


 ヴィンドの説明を聞いて、武志はうーんと夕暮れの空を見上げる。

 世界史とか社会の授業はそれほど得意なものでは無かった。

 とにかく思い当たる単語に変換して話を理解しようと頑張ってみる。

 つまり、自衛隊や警察組織は戦争準備に全力で、民間の警備会社が国全土の治安を任されてるってことなのだろうか?


「それって、めちゃくちゃじゃないか?」


「・・・・・・そうですな。北方にある大国、ソルの事変を発端に今この大陸では隣国同士がいつ戦争を仕掛けるかと睨み合いの状態が続いています。その中で、この国、マークリウスは小国である故に歪な体制を飲んだ上で戦争準備に取り掛かっているわけです」


 夕焼け染まる通り、武志とヴィンドの二人とすれ違っていく者達の多くは何かしら武器を備えた旅の一行だった。

 ファンタジーな世界だから、剣を腰に携えていたり背負ったりしてる人間を見ても不思議じゃないのだろうと、武志はデトハーに来てからそう理解していたのだが単純なアクセサリーというわけではないということだ。

 時代劇の撮影スタジオのようなものだと思っていたが、武志はその意味を理解し、認識を改めた。


「食事の時にギルドの報酬の話をしてくれたよな。あれってさ、旅人の食い扶持としてそのギルドの仕事が成立してるってことだよな。軽く見るだけですげぇ人がいるってのに、あぶれる事がなく俺でも簡単に受けれるってことだろ?」


「タケシ殿は察しが良いですな。ギルドの仕事は常に飽和状態です。特に魔物絡みの仕事は人手がいくらあっても足りませんでな、ギルドとしてはいつでも猫の手でも借りたいと思っていることでしょう」


 猫の手でも借りたい、そういう言い回しがこの世界にもあるんだなと武志は驚いた。

 何か聞いたこともない動物の名前を使った似たような言葉を聞くことになるかと思ったが、自分が理解できる言葉でなんとなく安心する。

 ミュレットに認識能力を弄ってもらったおかげだろうか。


 アルベッツステーレへと続く街西側の通りを歩いていき、中央を南北へと繋ぐ大通りへと出たところで武志はふと気になる視線を感じた。

 ファンタジーな世界で、白Tシャツにジーパン姿なのでチラチラと見られていることには気づいていた。

 食事中にも、何だアイツの服装は? とボロ布をまとった髭面の男に呟かれているのに気づいていた。

 だが今注がれる視線はそういうものとは違う。


「タケシ殿、気付かぬふりをしてください」


 武志が注がれる視線に背を向ける形をとるヴィンド。

 ヴィンドの言葉に武志はすぐに視線の方向から顔を背けた。


「アレ、何だと思う、ヴィンドさん?」


「わかりませんな。ただ好奇の目とは違い、それでいて殺気を伴うものでもありません」


 宿屋へと向かう東通りへと歩を進めていく。


「狙いがわからぬ以上、泳がせるが得策。追いかけてくるならば、対処を」


 街で一番、人の往来がある大通りを横切る。

 武志にわかるのは視線を向けられているという気配だけだ。

 距離感や相手の数までは把握出来ない。


「タケシ殿は誰かに追われる心当たりは?」


「・・・・・・無いわけじゃないけど、こんな所までかと言われるとそれは無いような。ヴィンドさん達は?」


「実を言いますと、大いにありましてな」


 何事も無く大通りを横切り、東通りへと辿り着く。

 建物の陰に入れば視線は切れるはずだったが、それでもなお、何かに見られているような気配が続いていた。

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