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CHANGE the WORLD  作者: 清泪(せいな)
IV

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22/57

4 大剣使いと大リザードマン

「もぉ! また話を聞かないっ!!」


「いいからミュレット、オレ達は後ろの雑魚どもの相手だ、構えろっ!」


 いつものこととは言えど、いつも通り特攻するノールにミュレットは憤慨し、それをアースカが抑える。

 アースカは背中に背負っていた弓を構えると、片手で背中の何もない空間を掴まえる。

 まるで矢を手に取るような動作。

 そして現れる、紫の光を発する矢。

 構えた弓に、強く引かれた矢。

 そして解き放たれる紫電。

 先陣を切るノール達を追い越して、巨大なリザードマンを横切って、矢は草原で戦ったあのサイズのリザードマンの額を正確に射抜いた。

 その一体の額に見事に命中し、紫電は小さな爆発を起こす。

 トカゲ人間を構成する魔素が弾け飛び、宙へと霧散した。

 魔素を操ることによる弓術、それは一体の撃滅に終わること無く続く。


 まさに紫電一閃、飛ばされた斧の返しとなった反撃の一撃。

 巨大な斧に恐怖して攻めてこれないだろうと威圧をかまし、村の中で待ち構えていたリザードマン集団が攻勢に出なければと慌てだす。

 そこへ飛んでくる、炎。炎。炎。


「村ごと燃やさぬよう気をつけなさい、ミュレット」


 水晶が先端に付いた小型の杖を振り回すミュレット。

 杖が回転する度に、水晶から炎が出現し大きく放物線を描きリザードマン達に降り注ぐ。

 まるでバトントワリングの様相で、頭の中で奏でる音楽に合わせ舞うミュレット。

 その心酔する様子に釘を刺すヴィンド。


「ぐっ・・・・・・前回の件は反省してます」


 ここに来る前にも一村、魔素に飲み込まれた村で戦闘を行った際、舞に集中していたミュレットは加減をつい忘れてしまい、山火事寸前までの惨事を起こしてしまっていた。

 加減は大事、頭の隅にその言葉を起きながら、遠い故郷の童謡に身を委ねていく。


 駆けるノールは、背負った大剣を片手で掴み軽く振り回すと、巨大なリザードマンの足元で急ブレーキをかける。

 制止にと踏み込んだ左足を起点に、その強引な減速をバネにして、まるで大木を薙ぎ倒す木こりの様に、両手で構えた巨大な大剣を水平に振る。

 巨木の幹のような太さのリザードマンの足に大剣がぶつかる(・・・・)


 刺さらない、か。

 その大きく変貌した身体と比例するのか、皮膚の硬さも通常のリザードマンとは別物であった。

 鋼鉄の大剣を弾き返す爬虫類の皮膚。

 ならば、とノールは弾かれた反動を利用して腕を回し身を捻る。

 右を叩き、続けて左──幹を左右から叩き割ろうとする連撃。


 弾いたということが、ノーダメージだったということとイコールではない。

 大リザードマンはたまらず、ノールへと攻撃を仕掛けようと手に持った大斧を振り上げる。

 そこへ──斧を振り上げた大リザードマンの無防備な上半身に、武志の飛び蹴りが決まる。

 高さで言えば3メートル程度、まとわりつく何か、いや魔素と呼ばれるものの力を使った跳躍。

 今まで闘った相手なら、風穴だって開けた威力を誇る飛び蹴りだったが、少し押した程度で硬い皮膚と硬い筋肉に弾かれる。


 武志は弾き返されながらも地面に着地し、その想像以上の硬さに驚いた。

 しかし、注意は逸らした。

 武志の一撃が生んだ隙に、ノールは三撃、四撃目と大剣を振る。

 ぶつかり合う大剣と皮膚。

 大リザードマンが再び、斧を構える。

 既に振り上げた体勢に入っているので、後は振り下ろすのみ。

 武志も再び、大きく跳び上がる。

 助走を必要としない強靭なバネ。

 飛び蹴りが狙うのは、先程と同じ位置。


 足を傷つけようとするノールには斧を、目の前に飛んでくる武志には、剥き出しに垂れ下がった舌。

 身体の大きさと比例する、武志の身長ほどある大リザードマンの赤く長い舌。

 武志の片足に巻きついて、僅かな首の動きで宙を跳ぶ武志の身体を大きく振り回す。

 武志は巻きついた舌を剥がそうとするも、力強く振り回されるなかで身動きが取れずにいた。


「何やってんのっ!」


 ミュレットが舞の向きを変える。

 杖の水晶から放たれた炎が、大リザードマンの舌へと落ちる。

 赤く長く太い舌を焼き切る炎。

 解放された武志が地面に落ちる。


「ありがとう、助かった!」


 援護を受ける、というのは非常にありがたいことだと武志は思った。

 今すぐこの喜びを相手に伝えたいところだが、そんなことをしているタイミングではない。

 振り降ろされる巨斧。

 ノールの身体をぶった斬る一撃。

 しかし、その一撃がノールへと辿り着く前に、ノールの五撃目の横薙ぎ。

 硬い硬い皮膚を、太い太い幹を、ぶった斬る一閃。


「豪快っ!」


 武志も驚嘆するノールの力任せの攻撃は、大リザードマンの左足の脛をぶった斬った。

 足を失い崩れる大リザードマンの身体。

 崩れ落ちる巨体に合わせ、ノールは地を擦るように大剣を振り上げ──


 ズバッッッッ!!


 弧月を描く大剣の一閃は、大リザードマンの顔を縦真っ二つに引き裂いた。

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