「物理」を考えさせるな
長方形の光の帯に包まれて
冷めた座席で
その光源を探す
どうやらビルとビルの間から
漏れているなにかのようだ
別にそれだけの理由で
降りるわけもなく
見なかったことにして
潰れたカバンから
使い慣れた英辞書を取り出し
人差し指で開いたページの単語を
覚えるつもりはなく
ただぼんやり眺める
そのうち
着くからと
ページをめくる
なにがなんだか分からないけど
物理に使う光を思い出すよりかは
はるかにマシだ
発音記号が妙に腹立たしくなる
あの方程式に入る記号と似ているから