【プロローグ】
【プロローグ】
「10年後、18歳になったら私を迎えに来てね!」
ピピピッピピピッ
俺はアラームの音で目が覚めた。どうやら夢を見ていたらしい。
「透く〜ん!朝ごはん出来たわよ、降りてらっしゃい!」
「今行きます」
下からそう声がしたので、俺は返事をし階段を降りた。
俺の名前は前田 透。南ヶ丘高校3年の18歳だ。
「今日はどこか出掛けるの?」
今、声をかけてくれたのが飯島 幸子さんだ。母の幼なじみだったらしく、幼い頃両親を事故で亡くし、身寄りのなかった俺を快く養子として受け入れてくれた第二の母親だ。
「はい、友達と映画を見て来ます。」
「そう、楽しんでらっしゃい!」
特に今の生活に不満はなく、とても良くしてもらっている。
「それじゃあ行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい!」
電車で集合場所へと向かったが、友達の姿はまだ無い。
「少し早く着きすぎたか?」
独り言のようにそう呟いていると、後ろから声が聞こえた。
「透〜!おまたせ!待ったか?」
「いや、俺も今来たとこだ」
こいつは大竹 優吾。小学生の頃引っ越して来た俺に一番早く声をかけ、仲良くしてくれた俺の親友である。
「それじゃ行くか!」
「おう」
優吾の声に返事をし、歩きかけたその時だった。
ウーウーウーウー!
甲高い音が俺の耳を劈く。周りの人のスマホや電光掲示板などから流れているものだった。
俺を含み皆が戸惑っている中、そんなことはお構い無しに放送は流れた。
それは耳を疑うものだった。
「緊急速報です。政府によりますと明日8月4日午後9時頃、巨大隕石の落下により地球を滅亡します。」
誰もが信じられなかった。
当然だ。突然明日地球が終わると言われて誰が信じられるだろうか。
「いや、意味わかんねぇよ…」
誰かがそう呟いたのが聞こえた。それを皮切りに次々と声が聞こえてくる。
唖然とする者。意味が分からず困惑する者。泣き叫ぶ者。そしてそれを宥める者。現実を受け入れられていない者。
先程までの何事も無いただの日常は一瞬にして終わりを迎えたのであった。