思い出
久しぶりにアルバムを開いてみた。
「瀬田高 真・軽音楽部」と書かれたそのアルバム。
新生活も始まり、新たに引っ越した家で物を整理していた途中で目に入ったのだ。
ちなみにこの部活動名に関しては決してふざけているわけではない。これが正式名称である。ただ少し読みずらいから「シン・ケイ」という愛称でみんな呼んでいた。
アルバム自体はもう十数年も触っていなかったものだから、表紙は少し黄ばんで劣化し、所々破れている。
物の整理もちょうどひと段落したところだったので、床に座りアルバムを手に取った。
「もう五年前のことなのか」
やはりジャネーの法則は正しいらしい。高校生のときあんなに長く感じていた一年が一瞬で過ぎ去っていく。
大人になるとは怖いものだと痛いほど分からせられる。
そんなことを考えながら一ページ目を開いてみた。最初に視界に入ったのはシン・ケイの集合写真だった。
それを見た瞬間、高校時代の日々が繊細に鮮やかに甦ってくるように感じた。
入学式から、軽音部結成、最初のライブ、文化祭、先輩方の卒業、新たな出会い、そして卒業。
長かったようで短かった、濃密で忘れることのできない三年間。
少しだけ笑みが溢れてしまった。あの頃を思い出して。
「みんな何してるのかなぁ…」
そんな呟きが漏れる。
その後も一ページ、一ページとアルバムをめくっていった。その度に霞んでいた記憶が青く澄み渡り彩られていく。
そんな思い出に浸っていると、ふと一人の少女が目に入った。彼女はその写真でムスッと仏頂面をしていた。
俺はつい笑ってしまった。
「そう言えばお前はこの頃から破天荒で傍若無人だったな」
そしてカカカッと笑い、呟く。
「お前はいつまで経っても変わんねぇな、…“スズ”」




