あしたのうた
きょうを生きぬいてこそのあした。
爪痕だらけの荒野をころがる
車輪のゆくえは知らないけれど
東の空をぶった斬った地平線を
眺めてりゃそのうち陽がのぼる
サボテンがその棘を丸めやしないかと
気を揉んでるうちに朝がはじまるさ
あしたのうたを あしたに歌ってやるために
きょうのうちには きょうのうたを
歌ってやらなけりゃならねえな
しゃがれた声がはりつく喉に グラスで流しこむんだ
噛み痕だらけの海原 掻きわけ
征く舟の舳先も知りはしないが
西の空を滲ませる水平線が
赤ければそこへと陽は沈む
トビウオがその羽を捥がれちゃいないかと
たしかめるひまもなく夜が訪れて
あしたのうたを あしたに聴かせてやるために
きょうのうちには きょうのうたを
聴かせてやらなけりゃなるまいな
かすれた声が錆つく喉を やすりで擦りあげるよ