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第39話 目に映るもの全てが道

※これはラブコメです

 あれから一週間経ったけど、その間にあの男は特別変わった行動はしなかった。

 殆どの行動パターンが、家→仕事→飲み屋→家だったからね。

 だからこのパターンが崩れる時がきっと僕が動く時。


 そしてそれは今日、やってきた。


 ◇◇◇


 学校も終わって自分の部屋でタブレットを再読み込みした時、あの男がいつもと違う場所へと僅かに移動する。


 これが分かるのも渡瀬さんや藤宮さんに奈央ちゃんのおかげ。よくもまあよく知らない女性から渡されたスマホを持ち続けてるなぁって思ったけど、どうやら渡瀬さんがいろいろとやってたみたい。


 聞いたところによると、怪しまれないように時折セクシーな写真を撮って送ってたんだって。渡瀬さんのおばあちゃんのを。エグい事するよね。

 だけどその写真に対してあの男は、『ドキドキするよー!』とか、『肌綺麗だね。それに、柔らかそうだ。……なんてね!』とか、『下着は地味なのが多いのかな? けど清純派って感じがしてイイと思う』ってメッセージを送ってきたそうだ。そしてそれをおばあちゃんに見せると大層喜んでいたらしい。


 はぁ!?


 これはアレだね。これがwin-winの関係ってやつだね。心にダメージを負ったのは僕だけって訳だ。……あの野郎どうしてくれようかと考えた結果、とりあえず僕は全ての不条理をあの男にぶつける事に決めた。ユルサナイ、ゼッタイニ……。


 とまぁそれはさておき、もう一度再読み込みをすると男はさらに動いていた。その方向を見ると、学校があるのがわかる。なるほどね。


 すぐに自分のスマホで和野先生の位置情報を見ると、学校から動いていない。ちなみにこの設定は藤宮さんに頼んだ。「出来る?」って聞いたら「出来たよ!」って返ってきたのには驚いたな。普通はYesかNoだよね? いったい何者なの?


 そんな事を考えながら何度か再読み込みをしていると、学校から少し離れたところで男は止まった。それからしばらくして、おそらく帰るのであろう和野先生が動き始める。するとそれを追うように男も動いた。


 ふむ。今が使い時かな。ポチッと。


『……ったく。前に住んでたアパートにいないと思ったら引越してたのかよ』


 おぉ! 聞こえる聞こえる。ばっちりだ。藤宮さんパないっす!


 タブレットからBluetoothで繋げた僕のイヤホンから聞こえるのはあの男の声。藤宮さんが設定したアプリ【こっそり聞こえちゃうよ君】は良好だね。

 そして予想通りあの男は和野先生のあとをつけてるみたい。キモイ。超キモ〜い。

 いったい和野先生を追いかけて何をするつもりなんだろ?


『とりあえず部屋さえ分かればこっちのもんだ。男二人がかりなら抵抗も出来ないだろうしな』


 うわ〜。知りたい事を聞かなくても言ってくれるなんて悪役の鑑だね。でも予想通り。これだけ聞ければ充分かな。念の為録音もしたし。


 僕は通話状態を解除すると、イヤホンはそのままでタブレットと大きめの鞄を持って部屋の窓を開けた。


「さて、観客のいないコスプレ会場に行こうかな」


 ……んん? このセリフちょっとカッコイイと思ったけどそうでもないかな? まぁいっか。


 僕は窓から飛び降りて近くの塀の上に着地する。先生が今住んでる所は職員室で職員名簿に載ってたのを見て覚えたから大丈夫。ここからでも全力で向かえば間に合う距離。


 だから僕はすぐに向かわずに一度目を閉じて集中する。


 ──今から僕の視界にあるものは全て道。壁も、塀も、屋根も、木や電柱ですらも。それを僕の体の隅々まで理解させて足に力と怒りを込める。


 そして──


「待ってろよ……。俺がなんとかしてやるからな」


 僕は大きく飛び出した。



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