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第33話ハーレム誕生

 学校についてからも渡瀬さんの様子はおかしい。何故か一定の距離から近付いてこないんだよね。

 廊下から僕を見つめて、目が合うと真っ赤になって目を逸らすんだ。まるで少女漫画の恋する乙女のように。

 彼氏のフリのはずなのに、それじゃあ付き合う前のフリみたいだなって思ったけど、それは言わないでおく。今の方が平和だしね。


 それよりも今一番の問題は目の前の二人なんだよね。今はちょうどお昼休みなんだけど、藤宮さんと奈央ちゃんが箸におかずを挟んで僕に向けてきてる。

 藤宮さんの箸にはミートボールが。奈央ちゃんの箸にはコンビニのサンドイッチが。デカい。


「拓真くん、あ〜んっ♪」

「たっくん……あんっ!」


 奈央ちゃん、せめて【あ】の次は伸ばしてくれるかな? 僕はリモコン的なもの持ってないからね? 遠隔でナニかしてないからそんな声出さないで。勘違いされちゃうから。ていうか、あ〜んされても食べないから。彼氏のフリじゃないってわかったからね。


「拓真くん……」


 目が据わってるスマホを持つ藤宮さん。


「た、たたたたたたたたっくん……」


 小刻みに震え始める奈央ちゃん。


「「た・べ・て♡」」

「いただきます」


 食べるしかないよね。彩音さんの平穏を守るためにもさ。さっきの呪いを見たら断れないよね。例え偶然だったとしてもさ。モッグモッグ。


「んなぁぁぁぁぁっ!?」


 渡瀬さん、廊下でそんな声上げないで。みんな見てるから。


「ミオリンほんとどうしたんだろ? 彼氏のフリのフリごっこしないのかな?」

「彼氏のフリのフリのフリごっこかも」


 もう何がなんだか……。ってあれ? 渡瀬さんこっちに来たや。手に持ってるのは……お弁当?


「………わ、私も食べに来たわ」

「あ、うん」


 いつもだよね。


「こ、ここ座るわね」


 渡瀬さんはそう言うと、学食に行ってて教室にいない子の椅子を持ってきて座る。……僕達から2メートル程離れた場所に。遠くない?


「コ、コレ見て……。自分で作ってきたの……」


 そう言いながら膝の上でお弁当を広げるけど、遠すぎて見えない。白と茶色しか見えない。


「渡瀬さん? 見えないからもう少し近くに来てよ」

「ち、近くに!? そんな……『俺の傍にいろ』なんて……」

「そんな事言ってない」

「いいの。わかってる。今ので私も決心が付いたわ」

「絶対わかってない」

「そうよね。今思えば簡単な事だったのよね。なんの関係も無いのに私の心を救ってくれた。おかげさまでお母さんも昨日からすこし変わったもの。そしてそんな事をしてくれる理由なんて一つしかないものね」

「渡瀬さん聞いて」

「てっきり私からのアクセラ──じゃなくて、一方通行だと思ってたから恥ずかしくて距離を置いてたけど、そんな必要もなかったのね」

「渡瀬さ──」

「拓真は私の事が好きだったのね! 大丈夫よ。私も拓真が好き。もうフリなんてしなくていいのよ! だから一緒にお墓に入りましょう!」

「全然好きじゃないよ」

「死にたい」


 僕のことが好きって何? なんで? それにいきなりお墓とか飛びすぎで怖すぎるんだけど。何よりも勘違いが酷いよ渡瀬さん。僕は全然好きじゃないからね?

 ……ん? ちょっと待って。昨日のは別に渡瀬さんの為に言ったんじゃないよ。母さんをバカにされたからだよ。だからそれで惚れられても困るんだけどな。


「というわけで伊月も奈央もごめんね。私の拓真なの」

「え、ボクの拓真くんだけど?」

「奈央の」

「「「……………」」」


 ……少し状況を整理してみよう。

 まずは、何故かは知らないけどこの三人が僕に好意を持っているってこと。

 そしてその三人共ちょっと頭がおかしいってこと。

 僕が彩音さんの事を好きだってことを完全にスルーしてるってこと。


 えっと、これって一応ハーレムになるのかな? ハーレムってこんなに嬉しくないものだったの?

 困るんだけど。はぁ……。



 ◇◇◇



 その日の放課後、三人に見つからないように窓から外に出て、窓枠を伝って行った屋上に少し隠れた。そこで時間を潰して外が暗くなってから帰ろうとした時、二階の窓まで降りたところで下から声が聞こえる。

 あれは和野先生と……誰だろう? 見た事ないけど、割とおじさんだね。あ、おじさんが和野先生の腕を掴んだ。


「や! ちょっとやめてください! なんでここまで来るんですか!?」

「なんでって? それはキミに会いたかったからに決まってるだろう? 今も一人なんだよね? なら、ヨリ戻さないか?」

「嫌です。あんなことしておいて今更……」

「やれやれ。あぁ、今日はいきなりだったから戸惑ってるんだね? わかったよ。また、落ち着いた頃に来るから」

「もう、来ないでください……」

「はは、おやすみ」


 あ、キスしようとしてる。


「やっ! 離れてっ!」


 和野先生逃げちゃった。

 そして謎おじさんも車に乗っていなくなったや。


「なんで……なんで、今頃来るの……」


 …………先生、なんで泣いてるんだろう。

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