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第14話 奈央ちゃんとお買い物

 今日は土曜日。僕は家の中に一人でソファーに座ってテレビを見ている。目の前のテーブルには一人分にしては多い、ジュースとお菓子を並べながら。

 ちなみに父さんは船乗りだからいない。母さんは朝からパチンコに行った。新台入替らしい。

 兄ちゃんは色んなところでこの前の決めゼリフを言ってるらしい。やれやれだね。


 さて、どうして僕がこんな風にお・も・て・な・しスタイルでいるかと言うと、今から兄ちゃんの彼女である日高さんの妹が来るからだ。

 前に言ってた挨拶の日ってわけ。さて、どんな子なのかな?


〘ピンポーン〙


 来たみたいだ。はいはい。今開けますよ。


「いらっしゃい」


 僕はドアを開けて日高さんに声をかける。おや? おかしいな。妹さんを連れてくるって言ったわりには一人しか見えないな。


「こんにちは、弟くん。約束通り妹連れてきたよ。ほら奈央なお。ちゃんと挨拶して」


 日高さんがそう言うと後ろからひょこっと出てくる女の子。赤みがかった長い髪で目は大きくクリクリとしている。ただ、背が小さい。ん? 小学生……いや、中学生くらいかな? 確か僕の高校に転校してくるって言ってたような……。飛び級とか?


「…………」


 う〜ん。なんだか凄く見られている気がするんだけどなんでだろう。何か喋ってくれないと僕も応えようがないんだけど。


「…………ふひっ」

「!?」


 い、今のって笑った……んだよね? それとも笑われたのかな?


「まったく……奈央ったら。ごめんね〜? この子あまり外で喋らないの。まぁ、家でもそんなに喋らないけどね。あと、見た通りこの子小さいけど弟くんと同級生だからね?」

「あ、はい。それは以前言ってましたからね。分かってます」


 ロリだ。完全にロリだね。言われないとわからないくらいのロリっぷり。

 これ大丈夫かな? 僕と一緒に校内歩いてたらロリコンだって噂されないかな? あ、そもそもそんなに見られること無かったや。


「それでもう一つ要件があるの」

「もう一つ?」

「うん。ほら、最近建ったマンションあるでしょ? 外に出ればここからでも見えるあの大きいの」

「あーはい。アレですね」


 そういえば中学の時にいろいろ街の人が騒いでたね。景観を損なうだとか日陰が増えるとか。だけどその騒いでた人達が真っ先にそのマンションに入居して、謎のセレブマウントをしてくるって母さんが言ってた。

 まぁきっと、理由も無いのに文句を言いたかっただけの人達なんだろうけど。


「そこにね、私と奈央で引っ越してきたの。とゆーわけで、これからはすこーしだけご近所さんになるからよろしくね♪」


 片目を閉じながら両手を合わせてそう言う日高さん。可愛い。妹さんは軽く会釈だけ。可愛らしい。

 ちなみに僕は、【可愛い】と【可愛らしい】の間には大きな壁があると思う。【可愛い】は、異性として見てる、抱きたいという気持ち。【可愛らしい】は、眺めて愛でたいや、撫でたいという気持ち。わかってくれる人はいるのだろうか……。

 いやまぁ、そんなことはどうでもいいんだけど。


「よろしくお願いしますね」

「うん。よろしく。じゃあ私たちは新居の為の買い出しに──ってちょっと待ってね。電話来たみたい」


 日高さんは鞄からスマホを出すと外に行って何かを話しているみたい。時々話しながら頭を下げているから、相手は偉い人みたいだね。

 そして一人残された妹さんは何故か僕をずっと見上げている。気のせいかもしれないけど、なんだか鼻がピクピク動いてるような?

 ……ちゃんとお風呂入って新しめの服出したんだけどな。


「…………はぁ」

「どうしたんですか?」


 日高さんは肩を落としながら戻ってくると大きなため息。


「えっとね? 昨日収録したやつに雑音入ってたみたいで録りなおしなんだって。新人がやらかしたみたい。だから、スタジオも押さえたから今すぐ来て欲しいんだって。完全に徹夜コースだよ……。う〜! 買い物楽しみにしてたのにぃ!」

「それ大変じゃないですか。急いだ方がいいんじゃないですか?」

「そうなんだけど、このまま奈央を部屋に置いていったら、何も無い部屋で一晩過ごすことになっちゃうから……あ!」


 なんですか? その『閃いたァ!』みたいな顔は。嫌な予感しかしないんですけれども。


「ねぇ弟くん! 何も用事がなくて暇だったら奈央と一緒に買い物いってくれない? せめて布団と明日の朝食さえあれば、明日は休みだからなんとかなるし!」

「あ、えっと……」

「ダメ?」


 ダメというか、さっきから僕の服を妹さんが引っ張ってます。

 これ、断れる雰囲気じゃないよね。


「わかりました。僕も男ですからね。荷物持ちくらいはしますよ」

「わぁ〜助かる〜! 奈央? これ部屋の鍵だからなくさないでね? あと支払いはお姉ちゃんのカード渡しておくからこれで買って。親族みんな使えるカードだから大丈夫。弟くん、じゃ、あとはお願いね!」


 そして日高さんは颯爽と走り出した。さて……


「えっと……妹さん?」

「…………(ふるふる)」


 妹さんは何も語らず、ただ首を振るのみ。僕の今の言葉からの否定ということは、もしかして呼び方かな?


「奈央さん?」

「…………(ふるふる)」

「奈央ちゃん?」

「…………(コクリンコ)」


 中々めんどくさいな。行くのやめようかな。けど日高さんと約束したしんだよね……。


 簡単に安請け合いしたことを少し後悔していると、奈央ちゃんが僕の袖をクイと引っ張った。そして──


「……いこ?」

「っ!?」


 え、待って。何? 今の超可愛いアニメ声。まさにロリキャラの声優さんが出すような声。


 これは……なんとしても会話が出来るようにならないといけないね。

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