表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

ヤキモチ

次の日、梨寿(りじゅ)と井田さんは、やってきた。


「二階に持ってくよ、荷物」


「ありがとう」


10年間過ごした荷物は、まだ全然仕分け出来てなくてあちこちに梨寿(りじゅ)の物があった。


「井田さんの荷物、全部いれられるかな?」


「井田さんじゃなくて、真白(ましろ)でいいですよ」


真白(ましろ)さんの、荷物はいりますか?」


「荷物は、少ない方ですから…。減らせばすみますし」


「ベッドは、どうしますか?」


「私が使ってたのは、シングルだから。真白(ましろ)のがいいよね?セミダブルだし」


「そうだね。」


「俺も、千尋が使ってたセミダブルにしたんだよ。二人のベッドは、捨てに行くまで真ん中の部屋に置いてるから。」


「そうなんだね。」


「近いうちにトラック借りて、捨てに行くよ。真白(ましろ)さんの物も、いらないのは持っていきますよ。」


「家の解約は、来月になるので、取りにきてもらえますか?」


「構いませんよ」


俺は、梨寿(りじゅ)真白(ましろ)さんの荷物を持っていく。


「ごめん。俺も手伝うよ」


「千尋、おかえり。よろしくね」


千尋は、探偵に早坂さんを探してもらう依頼をして帰ってきた。


「どうだった?」


「来週、また連絡くれるって」


梨寿(りじゅ)真白(ましろ)さんが、持ってきた荷物を運び終わった。


「今日は、向こうに帰る?」


「うん」


「明日、ベッド取りに行こうか?トラック借りて」


「そうだね。お願いするね」


「わかった、じゃあ下にいるよ。」


俺は、千尋と降りていく。


「千尋、ヤキモチ妬いてる顔してる」


「やっぱり、奥さんに敵わないなぁー。俺」


「何で、そうなるんだよ」


「だって、さっきの由紀斗さんの笑顔見てたら、そう思った。10年は、長いよ」


「不安にさせて、ごめんな」


俺は、千尋を引き寄せて抱き締めた。


「由紀斗さんが、奥さんをまだ愛してるのわかるよ。二人は、まだ戸籍上は、夫婦だから」


「俺と梨寿(りじゅ)の愛は、千尋や真白(ましろ)さんへの愛とは違うものだよ。」


「わかってる。それでも…。二人の絆は、すごいよ。子供が出来ない事なんかどうでもよかったんじゃないのかな?」


「そんな事、言わないでよ。千尋」


千尋のヤキモチが、堪らなく可愛い。


「もう、二人が降りてきたらどうするんだよ。コーヒーいれてきて」


千尋は、顔を真っ赤にしてあっちに行ってと言った。


「ごめん。終わったから、帰るね」


「コーヒーいれるから、梨寿(りじゅ)は、カフェインレスいれるよ。座って」


「ありがとう」


梨寿(りじゅ)は、真白(ましろ)さんを呼んだ。


真白(ましろ)さんは、千尋を睨んでいる。


「コーヒーどうぞ」


「どうも」


真白(ましろ)さんは、千尋が嫌い?」


「イケメンは、好きじゃないし、梨寿(りじゅ)が、誘惑されたら嫌」


「千尋は、そんな事しないよ」


「そんなの、わからないから嫌なの」


梨寿(りじゅ)も、少し困っているようだった。


「きっと不安なのは、梨寿(りじゅ)が他にいっちゃう気がしてるからでしょ?だけどね、元旦那からのアドバイス。梨寿(りじゅ)は、この人だと思ったらその人しか見ていないよ。10年間、傍に居た俺が保証するから。後、千尋もこんな風に見えて一途なんだよ。」


その言葉に、真白(ましろ)さんは泣いていた。


「ごめんね。また、ヤキモチを出さなくなっちゃった。私が悪いんだよね」


「ううん。私が悪いんだよ」


梨寿(りじゅ)が、真白(ましろ)さんを好きなのはよくわかる。


「せっかくだから、飲みませんか?」


「私が、運転するから真白(ましろ)飲みなよ。」


「なんか、食べ物頼もうか?」


「それなら、私と梨寿(りじゅ)さんが作ります。」


「買い物行こうか」


「うん」


二人は、家を出ていった。


「千尋、ずっと黙ってなくてもよかったのに」


「何か言う方が、神経逆撫でするでしょ?現に、梨寿(りじゅ)さんは、魅力的だよ。昔の俺なら振り向かそうとしたよ。」


「千尋」


「今はないよ。由紀斗さんが、すげー好き。ううん、好きじゃ足りないし、愛してるでも足りない、何て呼べばいいかな?」


「さあな」


俺は、キッチンに向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ