市井オミクロン騒動小景
◎オミ部屋の真実
「『オミクロン部屋の真実を追う』。わたくし花木が潜入ルポを試みます。こちらが隔離病棟です。そーーーっと」
「わっほっほ」
「もう一杯」
「駅弁足らねえぞ」
「きゃほおおおお」
「なんだここは。大部屋にわんさか患者が。これが名高いオミ部屋か。無症状とはいえこれほど元気満々とは。とにかく撮影だ」
「おいこら。コソコソなにしてる」
「こいつマスコミのスパイだ!」
「なに!やっちめえ」
ボカスカ! ぼこん!
「こちら中継映像です。いま院内から担架が運び出されます。情報によるとオミ重傷者の搬出だそうです。カメラ、ズームしてください。わ、血だらけ、ぼこぼこです」
◎オミクロン感染者インタビュー
「オミクロン感染から回復したNさんに話を伺います」
「ヘックショーイ! ども」
「大丈夫ですか」
「だめッす」
「後遺症ですか?」
「陰性なったとたん熱や咳が」
「はあ」
「オミ感染中は元気モリモリでした」
「え~と」
「オミの禁断症状かな」
「…」
「そうだ。オミ部屋行って再暴露してこよう」
「え~オミは健康に良いもののようで」
◎オミカン?
《オミカン有り〼》
「お。蜜柑でも買ってくか」
「この看板、ヘンじゃねえか」
「漢字だと敬遠されるんだよ。おう。ごめんよ」
「へい、らっしゃい」
「ミカンをもらおうか」
「ほい。こちらで」
「なんでぇ、空き缶じゃねえか」
「オミの顔が描いてあるぜ」
「的に良し、蹴って良しのストレス解消缶で!」
◎PCRの功徳
「おい生きてるか」
「メシを食う金もねえが命はあるようだ」
「いい話があるんだ」
「なんだい」
「2週間3食付き、運次第で温泉泊だ」
「どうすんだい」
「行列に並ぶ」
「それだけかい」
「鼻に綿棒突っこまれる」
「え~」
「で検査合格でご招待な」
「合格するかい」
「いまユルいからチャンスだ」
「なら行くか」




