ぱりぱりとともだち
「みいちゃん、新聞はどうしたの?」
家の中から、お父さんが心配になって出てきました。
だって、みいちゃんったらなかなか戻って来なかったからなんです。
「あ、お父さん見て見て! 氷の妖精ぱりぱりよ! お友だちよ!」
弾んだ声で、みいちゃんは氷の妖精ぱりぱりを指差しました。
氷の妖精ぱりぱりは慌ててお辞儀を丁寧にしました。
ところが。
「うん? 氷の妖精?」
お父さんはきょろきょろと庭を見渡します。
「え、お父さん見えてないの?」
びっくりして、みいちゃんは大きく目を見開きました。
氷の妖精ぱりぱりも不思議そうに、みいちゃんとお父さんを見ています。
すると、みいちゃんはお父さんの手を取って氷の妖精ぱりぱりを触らせようとしました。
スルッと、お父さんの手は氷の妖精ぱりぱりを通り越して空を切りました。
それを見て、みいちゃんはわあっと泣き出してしまいました。
何だかとても悲しくなったのです。
「みいちゃん」
お父さんはみいちゃんをぎゅうっと抱き締めました。
「みいちゃん。お父さんには残念だけれど見えないみたいだ。でもね」
涙目のみいちゃんを見て、お父さんは言いました。
「お父さんは、みいちゃんがうそを言っていると思わないよ。きっと居るんだね」
「うん、ぱりぱりはここに居るよ?」
みいちゃんは氷の妖精ぱりぱりの冷たくて小さな手をしっかりと握って言いました。
「じゃあ、お父さんもぱりぱりのお友だちになってもいいかい?」
「ぱりぱり……?」
みいちゃんは氷の妖精のぱりぱりを見上げてお願いというように、まだ握っている片手を今度はそうっと握りました。
氷の妖精ぱりぱりは嬉しくて、興奮して、思わず嬉しくて空中で一回転しました。
「うん! いいよ! みいちゃんのお父さんなんだもの! ぱりぱり嬉しいよ!」
「ぱりぱりもお父さんと友達になりたいって!」
みいちゃんとおとうさんは一旦お家に入ることにしました。
本当は氷の妖精ぱりぱりも一緒にお家に入ろうとしたんですが……。
「あっ、溶けちゃう溶けちゃう!」
お家の中はあったかいので、ってなったので慌ててお外に残りました。
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