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第三話 その17

 ギルドに着くとちょうどマリアとウォーレンが建物から出てきた。子供らは通り過ぎる馬車を指差したり,往来も気にせず追いかけっこなどをして遊んでいた。マリアはすぐこちらに気付くと「ほら,あんたの取り分」と言って皮の袋を投げてよこした。両手で受け取るとずしりと重い。相当な額が入っているらしかった。

「私の分はもう貰ったから」

と,マリアが言った。化け物にとどめを刺したのはマリアで,魔物の群れを討伐したのも彼女だからてっきり俺に取り分は無いと言われるものかと思っていた。そう言われても驚かなかったと思う。そういう考えが顔に出ていたのかもしれない。

「何か不満?」

「いや,俺も貰って良いのか? 倒したのはお前だろう」

「私がそんなに心が狭いと思ってるの?」

「ちょっとだけ――」

水流が飛んできた。びしょびしょになった。素直にありがとうと言えばよかった。ウォーレンが苦笑いしていた。

 マリアが討伐の報告をし,ギルドからは森に放置された死骸の処理に何人かの職員が派遣された。討伐報酬も貰った。俺は腕を治し,この町で必要なことは済ました。

「さて,何か他にお困り事はありますか?」

用事を済ませ,手持無沙汰になっていたところでそう口火を切ったのはウォーレンだった。

「もしなければ,寂しいですがここでお別れですね」

ウォーレンの口ぶりは,なんだか自分と関わると相手に迷惑だとでも思っているようだった。俺は何か礼をしなくてはいけないと思っていた。だが妙なことに,礼をしたいから待ってほしいと伝えることが難しいことのように思われた。一言がつっかえて口から出なかった。何か適当な理由でもあれば良いのに,と思っていると

「ねえ,ウォーレン」

と男の子が一人,ウォーレンに話しかけた。男の子は少し遠慮がちに,だけどこらえきれずといった具合に

「俺遊戯場に行きたい」

と言った。それはこの町にあるらしい小さな娯楽の集まるところを指しているらしかった。

「ダメです。うちにはお金が無いといつも言っているでしょう」

「でも……」

「今日はドリョクさん達の手伝いでこの町に来ただけです。我慢してください」

男の子はしゅんとして,むくれたのか下を向いてしまった。俺はこれだと思った。

「あの! もしよかったら行きませんか,遊技場。お金もありますし――」

それに

「お礼させてください。お世話になりっぱなしで,こんな形ですが,お返しということでみんなで行きませんか?」

ウォーレンはどうしても遠慮をしているようだった。だが子供達はウォーレンを取り囲むと口々に「行きたい」と言い出した。とうとう折れて,「分かりました。お言葉に甘えましょう」と言うと,子供達は大いに喜んだ。


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