表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/62

第三話 その2

 再び歩き出すと森に差し掛かった。道は拓かれていて歩いていくのに問題は無かった。

 何事もなく進んでいくと一人の男の子がぽつねんと一人,道に座り込んでいた。

「努力,あれって……」

ハルは確かめるように聞いてきた。俺は頷いた。迷子だと思う。見過ごすわけにもいかず近寄ると,男の子は俺らに気付き,同時に顔をゆがめ,勢いよく立ち上がり逃げ出した。

「待って!」

ハルが呼び掛けるのとほとんど同時に男の子は転んだ。反射的に駆け寄り

「大丈夫か?」

「うわあああん!」

声を掛けると泣き出してしまった。その声に驚き鳥が数羽,バサバサと飛び去っていった。

「ちょ,ちょっと! 大丈夫だって!」

あたふたする俺。

「ど,ど,どうしよう!?」

同じくあたふたするハル。

「はあ……」

ため息を吐くマリア。(少しは手伝えよ!)

 男の子はわんわんととどまることを知らず,どうしてよいか分からず途方に暮れかけていると,森の方から「エドくーん」と声が聞こえてくる。男の子は声のする方へ素早く振り返ると「ウォーレン!」と叫び,森の方へ入っていった。

「追いかけよう!」

ハルに賛成だ。森の中へ子供一人では危険だ。俺らは後を追った。

 男の子はすぐに見つかった。ずっと泣いているので声のする方へ行けばあっという間だった。男の子は眼鏡をかけた男に縋りついていた。男は男の子の頭を優しく撫でている。こちらに気付くと軽く会釈をしてきた。反射的に俺も頭を下げると,男は話しかけてきた。

「どうも,すみません。失礼ながらどちら様でしょうか?」

「その子が道に一人でいたので,声を掛けようと思ったら森の方へ入っていったので,危ないと思って,その,追いかけて来たんです」

なんとも妙な会話だ。だが男は納得したようで

「そうですか。それはお騒がせしました」

と言い再び頭を下げた。

「あれ? またエドが泣いてる!」

「本当だ,まただ!」

今度はたくさんの声が森から聞こえたかと思うと,ぞろぞろと子供達が現れた。

「ねぇウォーレン,だれこの人たち?」

子供の一人がこちらを指差した。

「この人達は……,何でしょう?」

男は首をかしげた。こういう時にハルは頼りになる。

「ハルはハル。こっちは努力で,こっちはマリア。妖精女王様に会いに行くんだ!」

「ということは,旅人か何かですか?」

「はあ。そういうことになるかもしれません」

俺は曖昧に答えた。旅人と自己紹介する機会は無いと思っていたから,自分自身の回答に納得がいかなかったのだ。しかし男の方はさして訝しむこともなく「そうですか」と笑顔で応えた。

 日も落ちてきて,木々に囲まれたここは暗くなりつつあった。

「ウォーレン,もう帰ろう。木の実もキノコもたくさん集まったよ」

「そうですね。ところで皆さんのこの後の予定は?」

そう聞かれて答えを考える。特に予定というものもないが,もう少し早く次の町へ着くと思っていた。少々無計画だった。腹もすいてきた。このまま森を無事抜けられるか不安だ。この人は地元の人間かもしれない。そう思い次の町までどれくらいか尋ねるとまだずっと先だと言う。困った。弁当も用意していない。いよいよ雲行きが怪しくなってくる。

 すると

「もしよかったら僕らのところへ来ませんか? 夜は危険ですし,旅の疲れもあるでしょう」

男は柔和な笑みを浮かべた。俺は彼を頼ることにした。

「では,お言葉に甘えて」

そう言うと,彼は「フフ」と笑った。

「ああ,いえ。歳に似合わない言葉だと思って」

俺は少し恥ずかしくなった。

「改めまして。僕はウォーレン。よろしく,ドリョクさん,ハルさん,マリアさん」

こうして俺らはウォーレン達に付いて行くことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ