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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
83/161

83『お地蔵さんの奥座敷』

やくもあやかし物語


83『お地蔵さんの奥座敷』    





 実はね……



 お地蔵さんが切り出すと、十六畳くらいはあるんじゃないかと思う座敷に座っている。


 あれっと横を向くと、チカコが憑りうつったシグマが等身大になって座っている。


「あら、等身大になっちゃった!?」


 等身大のシグマは、わたしと同じくらい。


 シグマの設定は、たしか身長160センチ。


 わたしよりも4センチ背が高い。


 それが、座った姿勢で同じくらいだから……その分、わたしよりも足が長いんだ(^_^;)。


「なにを卑下してるのよ」


「え?」


「これはシグマの姿だからね。じっさいのわたしは、やくもよりも低いわよ」


「そ、そうなんだ(^_^;)」


 チカコの本性って、左手首。等身大の左手首って、それで張り倒されたら蚊のように叩き潰されそう……。


「ふふ、なにを妄想してるのよ」


「アハハ、ここ、どこだろうね?」


「広いお座敷……お地蔵さんの奥座敷ね」


「奥座敷?」


「きちんと対応してくださってるのよ、近所の中学生としてではなく、正式な客人としてね」


「えへ、そうなんだ(#´ω`#)」


 お地蔵さんとは、これまで、いろいろ話や相談をしてきた。


 でも、これまでは、お地蔵さんの声が心に直接響いてくる感じで、実際に姿を見たことは無い。


 なんだか緊張する。



 コーーーン


 ヒ!?



「鹿威しよ、これくらいで驚かないで」


「鹿威し?」


「こんなの……」


 チカコが指を立てると、遠足かなにかで見た、お寺の庭とかにあったシーソーみたいな竹筒の仕掛けが浮かんだ。


「すごい庭ね」


 開け放った障子を出たところは学校の廊下くらいの幅の縁側廊下になっていて、その向こうは、桂離宮か浜離宮かというくらいの日本庭園が広がっている。


「お茶をお持ちしました」


 庭の景色に見惚れていると、反対側の襖が開いて、奥女中さんみたいなのが頭を下げている。


「は、はひ」


 変なところから声が出てしまう。


 シグマのチカコは、ほんの少し頭を下げて会釈するだけ。


 なんか、貫録。


 わたしの前にお茶を置いてくれて、奥女中さんの顔が見える。


「あ、メイドお化け!?」


 ビックリした。


 奥女中はクスリと笑ったような気がしたけど、そのまま頭を下げて出ていく。


 襖が閉まって、頭を戻すと、目の前に和服姿のきれいな女の人が座っている。


 名門旅館の女将さんか、とってもえらいお茶の先生……なんて会ったことないけど、そんな感じ。


「お待たせしました。どんな姿で現れていいか悩んじゃって、ちょっとお待たせしてしまいました。二丁目の延命地蔵でございます」


「は、はい」


 チカコが、きれいにお辞儀を決めるので、見よう見まねで頭を下げる。


「さて、本題に入ります。しらみ地蔵というのは、大阪は河内国の高安にあるお地蔵のことです」


 う、痒くなってきた。


「その虱ではありません」


 プ


 チカコが吹きだす。くそ。


「むかしむかし、高安に瞬徳丸という美少年がおりました」


 真面目な切り出しに、口元も自然に引き締まる。


「音感とリズム感がいいので、十三歳の時には、選ばれて四天王寺で舞を奉納する稚児に抜擢され、その美しい舞は、河内のみならず、都にまで噂となって伝わりました」


 居間の家に来る前に深夜アニメで流行っていた、日本刀が美少年に変化して大活躍するというアニメが浮かぶ。


「瞬徳丸の家は、高安でも名の知られた長者の家で、その一人息子である瞬徳丸の未来は保証されたようなものでしたが。好事魔多し、母親が亡くなってからは……」


 コーーーン


 鹿威しが大きく響いて、お地蔵さんの話は核心に入っていった……。




☆ 主な登場人物


やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生

お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子

お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介

お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い

教頭先生

小出先生      図書部の先生

杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き

小桜さん       図書委員仲間

あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子チカコ

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