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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
43/161

43『お守り石をお忘れなく』


やくもあやかし物語


43『お守り石をお忘れなく』      





 お守り石をお忘れなく。



 その一言で電話が切れた。


 電話の主は交換手さんだ。


 お出かけの準備を整えて、百均の鏡で身だしなみをチェック、「よし」と確認したところで黒電話が鳴ったんだ。


 受話器を取ると、いつもの交換手さんが――お守り石をお忘れなく――と言って切れたところ。


 こないだ――早く寝た方がいいですよ――の忠告を無視したせいか、ちょっとご機嫌斜めのような気がした。


 機嫌が悪くとも、せっかくの忠告なのでお財布の中を確認。お守り石はお財布の小銭入れの所に……無かった。


 え? え? あれ?


 記憶の糸を手繰ってみる。そうだ、三日前にベッドに入ってから気になって取り出したんだ。そいで眺めてるうちに眠くなって、失くしちゃいけないと思って……しまったはず……?


 ベッドに寝っ転がって、動きを再現してみる。


 寝落ちしかけて……ガクっときて、枕もとに落としたんだ。でも、すぐに拾って………………思い出した。


 お財布は引き出しの中で、引き出しに仕舞うには、一度起き上がらなければならない。


 寒いし、めんどくさいし…………で…………で…………どうしたんだっけ(#゜Д゜#)…………思い出した! 手だけ延ばして枕もとに吊ってある制服のポケットに入れたんだった!


 探ってみると、やっぱポケットの中にあった。


 交換手さんは知っていたんだ。だから、出かける寸前に忠告してくれたんだ。



 でも、それなら最初から制服のポケットと言ってくれたらいいのに。


 いやいや、わたしが悪いんだよね。


「ありがとう、制服のポケットにあった」


 受話器に言うけど返事は無し。


 んもー


 ガチャンと受話器置いて部屋を出る。


 ガチャン!


 思いのほか強くドアを閉めてしまって、自分でドッキリしている。


「行ってきまーーす!」


 駅へ急ぐと、タッチの差で準急が出てしまった。交換手さんの祟りか……。


 次の電車は当駅止め。


 その次の普通電車に乗って、目的の駅に着いたのは予定のニ十分後だった。



 え、どこに行くのかって?


 ペットショップよ。お父さんが支払いを済ませて、引き取るだけになっていた子ネコの確認をするためにね。




☆ 主な登場人物

•やくも       一丁目に越してきた三丁目の学校に通う中学二年生

•お母さん      やくもとは血の繋がりは無い

•お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介

•お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い

•小出先生      図書部の先生

•杉野君       図書委員仲間 やくものことが好き

•小桜さん      図書委員仲間

•交換手さん     古い黒電話に住み着いている


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