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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
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17『赤い長靴・3』 


やくも・17『赤い長靴・3』   





 長靴は教室うしろのロッカーの上に置くことになった。



 最初は机の下に置こうかと思ったんだけど、足の置き場所がなくなる。


 廊下の傘立ての横も考えたんだけど、これは目立つし、知らないうちに隠されたりイタズラされたりを気にしなけれなならない。


 男子が二人長靴の子が居て、うしろのロッカーに置いたのがとどめになった。わたし一人別の所に置いたんじゃ、長靴を履いてきたということ以上に変に思われる。


 でも、やっぱり目立つ。


 教室に入ってきた子の三人に二人ぐらいは見ている。男子二人は「ダッセー、長靴かよ!」と言われてるんだけど「うっせー!」とか言って反撃している。


 赤い長靴を冷やかす子はいない。赤は女子の色だし、なにより女子ロッカーの上に置いてあるからね。


 でも、ハハハとかフフフとかの笑い声が起こったり、なにか意味不の呟きやら嬌声がが起こると、自分の事じゃないかとヒヤヒヤする。


 授業がが始まると、今度は先生たちだ。


 みんなは前を向いているけど、先生だけが後ろを向いている。アイボリーの壁にグレーのロッカー、その色調の中で赤い長靴は、ゲームの中のキーアイテムが強調されているように目立つ。口に出して赤い長靴のことをどうこう言う先生は居ないけど、なんだか、どの先生も一瞬見ているような気がする、いや、ぜったい見ている。


 二時間目の鈴木先生は「お、長靴の子がいるのね。いいわよ、こういうひどい雨の時はなりふりとか構わずに実用でいくのが一番よ」とフォローのつもりなんだろうけど「なりふり構わずに」ってフレーズでフォローになってない。わざわざ振り返って「ホー」とか「ヘー」とかゆう奴も出てくる。目線の向きでわたしのほうを見てることがわかる。


 三時間目の小出先生は、最初の起立礼が終わった後、明らかに赤い長靴に目を留めて「ホーー」って言った。自分でも分かるくらいに顔が赤くなっていく。お母さんも子どものころは直ぐに赤くなって困ったんだそうだ。むろん遺伝なんてことはあり得ないんだけど、十三年も親子やってたら、どこか伝染してしまうのかもしれない。


 練習問題をやらせてる間に、先生は机間巡視をする。先生は、うしろのロッカーの所で停まってしまった。


 なんで? やだよ、赤い長靴に注目なんかしないでよ!


 小出先生はお母さんと同窓なんだ。


 転校の手続きに来て、教頭先生を待ってる間に職員室の配置表を見ていた。


「あ、小出君がいる」


 その一言が聞こえたのか、小出先生がこちらを向いて、互いに「ア」「オ」って始まって、教頭先生が来るまで話していた。


 お母さんは、誰ともフランクに話ができるんだけど、あの時は小出先生の方が熱心だったような気がする。


 小出先生と何かあったの? なんて恐ろしくて聞けなかったけど、「あの先生はクラスメートだったのよ」と楽し気に言ってた。


 その小出先生が赤い長靴に注目してる……気持ちが悪い。


 練習問題に集中しよう!


 二問目を解き終って三問目にかかろうとしたら……真横に先生が立っているのに気が付いた。


 


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