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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
114/161

114『仁のカップ麺とコルト・ガバメント』

やくもあやかし物語


114『仁のカップ麺とコルト・ガバメント』 





 ちょっと迷って『仁』のカップ麺とコルト・ガバメントを持って廊下に出た。



 ちょっとね、タクラミがあるのよ。


 部屋でやったらね、チカコと御息所がいるでしょ。


 いるといっても、二人ともへそを曲げてるから、感じ悪いでしょ。


 だいいち、姿くらましてるし。


 姿くらましてても、二人とも臆病なんで、家の外に出ることはないし、それどころか、わたしが付いていなきゃ家の中だって勝手には動き回らない。


 だからね、部屋の中には居るのよ。


 わたしが、廊下でゴソゴソやったら――やくもは、なにやってるんだろ?――と思うわけよ。


 気が小さいくせに好奇心は人一倍って二人だからね。


 気になったら、ぜったい覗きに来る。


 出てきたら、わたしの勝ちよ。



 なんで『仁』のカップ麺かというと、仁義八行の意味も順番もよく分からないから、とりあえずうる憶えの一番目『仁』を選んだわけよ。



 開けてみると『仁』とプリントされたBB弾の袋。


 これはもう、ガバメントの弾倉にぶち込むしかない。


 BB弾を弾倉に入れるには専用のナントカっていう注入器を使う。


 だけど、持ってないから、一発というよりは一粒って言った方がいいBB弾を一発ずつ入れていく。


 カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ


 トロクサイけど、この方が部屋の中で隠れている二人には刺激的なのよ。



―― なにやってるんだろ? ――



 そんなオーラが、だんだん近づいて来て、五分もすると、ドアの所から息遣いさえ感じられる。


 あ!?


 わざとBB弾をこぼして声をあげる。


 まるで、子ネコみたいにBB弾に気をとられる二人。


 今だ!


 ムンズ!


 あやまたず、御息所を捕まえる!


 ピューー


 チカコは声も立てず、まっしぐらに部屋の中に逃げていく。


「は、放せ! どうして、分かったのよお!?」


「そりゃあね、あんたはあやか、チカコは闇猫の姿でしょ。闇猫はゴスロリだし、あやかはミニスカの制服。シルエットがぜんぜん違うのよ。とーぜん、床に映ってる影も違うから、その影目がけて手を伸ばせば、いちころなのよ。ムフフフ……」


「くそ、謀られた(-_-;)」


「降参しなさい」


「やだ! 誰が、八犬伝の撃ち漏らしの退治なんか」


「ほう……いいのかなあ」


「な、なによ!?」


「御息所、あんた、実は……」


「え? え? ええ……どうして、それを(#'∀'#)!?」



 教頭先生に教えてもらった秘密の効き目はすごかった。


 

 そのあくる日の土曜日、わたしは、御息所をポケットに、ガバメントはバッグに入れて神田明神を目指すのだった!




☆ 主な登場人物


やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生

お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子

お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介

お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い

教頭先生

小出先生      図書部の先生

杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き

小桜さん       図書委員仲間

あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子チカコ 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所 里見八犬伝


 



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