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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
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11『ペコリお化け・2』


やくも・11『ペコリお化け・2』   





 ときどきRPGのように感じてしまう。



 なにがって……わたしの生活。越してきてからのわたしの毎日。


 お爺ちゃんとお婆ちゃんと、そしてお母さんとわたしの生活。


 一見家族なんだけど血のつながりは無い。


 お爺ちゃんとお婆ちゃんは夫婦だから、元々は他人。


 二人には子供が出来なかったから養女に迎えたのがお母さん。で、血のつながりは無い。


 お母さんとお父さんにも子どもはできなかった。だから、わたしが養女に迎えられた。これも血の繋がりは無い。



 理由は言えないってか、よく分からないうちにお母さんは離婚して、お母さんが親権をとった。


 それで、お母さんの実家であるお爺ちゃんお婆ちゃんの家に越してきたんだ。


 だから、四人とも、祖父母であるように、母親であるように、娘であるように、孫であるようにロールプレイしている。


 言ったよね、だから五分以上いっしょにいたら間が持たなくなる時があるって。



 えと……例のペコリお化け。



 こういうことにした。


 登校するときは崖道。下校の時はつづら折れを通る。


 ペコリお化けに会ったのは登校の時だから、朝に崖道を通るのが自然だよね。


 朝に一度だけペコリとする。


 ペコリお化けが一度でもシカトしてくれたら、もうペコリしなくてすむ。


 だけど、角を曲がった時からペコリお化けの気配。別に工事現場からトラックが出てくるわけでもないのに、ペコリお化けは誘導灯を振って通行を促す。分かってるよ、わたしを促すだけじゃなくて、工事現場の人たちに――いま、前の道を人が歩いている――ということをアピールしてるんであって、そのことはガードマンの就業マニュアルとかにあって、ペコリお化けとしては守らざるを得ないんだって。


 だから、こちらもペコリとせざるを得ない。ペコリとするときペコリお化けはニコリとする。わたしも、ほんの微かにニコリと返す。何人何十人といっしょに通っているんだったらペコリだけですむ。いや、場合によっちゃペコリもしなくて済む。でしょ、他の通行人がペコリとしないんなら、ペコリする方がおかしいもん。


 でも、日に一度の事だからガマンして、皇族の人みたいに過不足のないニコリでペコリ。


 ところが、ニコリとし過ぎた! 目が合っちゃった!


 ヘルメットの下の目がニヤリと光ったよ(;'∀')。


 ヤバイと思ったら、なんとペコリお化けが近づいてくるのが視界に入った。


 時計見るふりをして「ヤバイ」、用事を思い出したように早足になる。ペコリお化けも早足になる!


 小走りになる、ペコリお化けも小走りになる!


 108メートル先の角を曲がるところで肩を掴まれる! ウッ……叫びそうになるのをやっと堪える!


「逃げなくたっていいじゃないか、や~くもちゃ~ん……」


 ヘルメットの下の闇の中で二つの目が真っ赤に光って迫って来る!


 叫ぼうと思っても声が出ない(;゜Д゜)。



 脂汗を流して……目が覚めたら、五時間目の数学の時間だった。



 RPGについて話したかったんだけど、また今度(;'∀')。




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