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やくもあやかし物語  作者: 大橋むつお
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10『ペコリお化け・1』


やくも・10『ペコリお化け・1』   





 一昨日までは近道のつづら折りを通っていた。



 昨日、久しぶりに崖道を通って登校した。


 慣れてきたので、朝の支度も早くなってきて、家でグズグズしていると間が持たないんだよ。


 お母さんは早くに出ているし、お爺ちゃんお婆ちゃんとも、こっちに来てから暮らし始めて、五分以上一緒に居たら間が持たない。昨日なんかトイレで時間を潰していたら「お腹の具合でもわるいの?」と、お婆ちゃんにトイレの外から声を掛けられて気まずかった(;^_^A。


 学校に早くついても気まずい。


 早く登校している子と、教室で「おはよ」って挨拶して、あとが持たない。


 トイレに行ったりしたら……まさか「お腹の具合でもわるいの?」とは聞かれないけど、なんだか敬遠されてるとか思われるかもしれないじゃない。予鈴が鳴る五分くらい前にはいっぱい登校してくるんで、わたしもNPCってかその他大勢の中に溶け込める。だから、時間調整に崖道を行くんだよ。


 あの家は、しっかり工事用シートで囲われてしまった。看板が出ていて介護付き有料老人ホームができると書いてあった。


 もう、怖くもなんともない。たぶん、あのお厨子が無くなったせいだろう。


 老人ホームになったら、またショートカットできるのかなあ……そんな気持ちで、ついシートの隙間を窺ってしまう。


 視野の端に気配、ドキッと目をやると、紺の上着に黄色いヘルメット被ったガードマン。


 昨日、思わずペコリとしてしまったよ。


 するとガードマンもペコリ。若いのか中年なのか分からない笑顔。


 今朝も崖の坂道にさしかかる。下りながらシマッタと思う。


 ペコリとしなければ、互いにオブジェでいられた。


 ペコリなんかしたら、工事が終わるまで毎日ペコリだよ(;゜Д゜)!


 右に折れてつづら折れを下ったら不自然。崖道への三叉路に差し掛かったら、すぐ左が工事現場。


 さっきはボンヤリしてたけど、一度ペコリしあったんだ、右に折れたら不自然だし、どうかしたらシカトしてるみたいだ。


 ガードマンがペコリお化けみたく思えてきてしまった。


 昨日出会ったのはたまたまで、今日は居ないかも……儚く願ったけども、視野の端に黄色いヘルメットと赤い誘導灯持ったガードマンが見えてくる!


 ペコリ!


 視野の端に留めたままペコリする。ペコリお化けは『また会ったな』って感じでペコリを返した(;゜Д゜)


 どうしよ、日を重ねるにしたがってペコリ近づいてきたらあ(;'∀')(-_-;)


 よお、お茶でもどうだい(^▽^)/ ほんの一分ほど、なんなら崖下まで近道させてやるからよお……とか言われて、近道誘われて、うっかり通ったら異世界とか次元の狭間で、暗黒面に呑み込まれたりしてえ……。


 ウジウジ思っているうちに学校に着いてしまった。


 朝から校門のところで担任に出くわし「お腹の具合でもわるいの?」と言われてしまった。


 

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