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決着!二人のイレギュラー

『ぐっ、今のお前の速さで俺たちの攻撃を避ける事は不可能なはずだ…!お前、一体何をしたァ!?』


 パールスが切断された腕を復元しながら俺に問い詰める。それに対し俺はこう言った。


「さあな、俺にもよく分からないよ。…でも今ので一つ確信した事がある。それは俺たちが絶対に負けないという事だ!」

『ぐぐぐ…生意気なァ。だったらその俺たちに勝てるという証拠を見せるんだなァ!!』


 パールスがまた腕をトゲに変形させ、それを俺に向けて攻撃してくる。それが当たる直前、また俺以外の全ての物体が止まり始めた。…よし、さっきと同じ流れだ。行けるぞ!

 俺は今度は剣を思い切り振って、そこからビームを放出させる。と、同時に――。


『ぐおっ…がああああっ!!!』


 全ての物体が再び動き始め、俺の放ったビームは奴の身体ごと一気に貫いた。攻撃を食らったパールスの身体はたちまち真っ二つになっていく。

 その後、二つに分かれたパールスの身体はそれぞれ赤と青の色へと変色していく。つまり合体が解除され、ロートとブラウに戻っていったのだ。


『な、何が起こった!?あいつが俺たちに攻撃を与える隙は一切無かったはず…!』

『そ、そんなァァァァ!!こんな所で合体が解除されるなんて、これはまずいですよォォォォ!!』


 二人は何が起きたのか分からず混乱している様子だ。いいぞ、あの二人を追い詰めている!まさに形勢逆転という奴だ。

 だがまだ油断はできない。まだ何か策が残っている可能性があるかもしれないからな。


『どうするつもりなんですかァ、ロート!あの合体は一度解いてしまったら、反動で俺たちの力が半分になってしまうんですよォ!』

『ふん…そうだったな。だが落ち着くんだ、ブラウ。冷静に対処すれば、俺たちの力が半分になろうがどうという事はない』

『そ、そんな事言われましてもォ…!ぐうっ、身体が思うように動かないッ!』


 二人は身体を動かそうとするも、さっきより動きが遅くなっている。今の攻撃がかなり効いたようだ。今の状態なら、あの魔法を使っても行けるかもしれない。

 俺はそう考え、咄嗟に剣を構えてこの魔法を唱えた。


『スライド!』


 魔法を唱えた途端、二人の身体は地面に思い切り叩きつけられた。


『ぐっ、またその魔法か!…くそっ、全く身体が動かん!』

『ひィィィィ!!このままじゃあ俺たちがやられてしまいますよォォォォ!!』


 二人は必死に身体を起き上がらせようとするも、全く立ち上がってこない。ブラウが言ってたように彼らの力が半分になった影響だろうか。あの様子だと策を粘る余裕すら無さそうだ。

 とにかく、今がチャンスだ。さっさとこいつ等を倒して町に戻ろう!


「よし、アルベルト!今からあれを放つから一旦ここから離れて!」

「あれ?…ああ、あれの事か。分かったぜナオト、景気よくドカンと一発やっちまえ!」


 アルベルトは俺にそう言い、向こうへと離れていく。サンキュー、アルベルト。飲み込みが早くて助かるよ。

 彼が遠くへ行った後、俺はまた剣を構えて魔法を放つ準備に入ろうとした。


『ま、まさかこの状態で俺たちにトドメをさすつもりなんですかァ!?や…やめましょうよこんな事ォ!動けない相手に攻撃するなんて酷いと思いませんかねェ!?』


 その直前、ブラウが俺に攻撃をやめろと騒いだ。命乞いのつもりだろうか。…だけど、こいつ等のせいで罪のない人達が苦しめられてきたんだ。こんな奴等に今更情けなんかいらない。

 俺はそれに構わず、魔法を放つ準備に入る。


『ねぇ、ちょっと話を聞いているんですかァ!?相手の話をまともに聞かないとか、将来ロクな人間に育ちませんよォ!?』

『ぐっ…落ち着けと言ったはずだ、ブラウ!ここで騒いだ所で見苦しいだけだぞ』

『そ、そんな事言われましてもォ!俺たち、あのガキに殺されてしまうかもしれないんですよォ!?…くそっ、こんな物ッ!こんな物ッ!!』


 ブラウは俺の放ったスライドから逃れようと必死にもがき始める。どうやら魔法を自力で解こうとしているらしい。マズい、早く放たないと…!


『おりゃああああッ!!』


 俺がそう考える間もなく、ブラウは雄叫びを上げたと同時に勢いよく立ち上がった。…こいつ、本当に自力で魔法を解いてしまったのか!?力はそんなに残っていないだろうに、なんて奴なんだ…!


『へ、へへ…!どうだ参ったかァ!?ロート、悪いけど俺は逃げますよォ!こんな所で死んでたまるかってんだァ!』


 ブラウはそう言い、よろよろになりながらも向こうへと逃げていく。し、しまった!このままでは奴を逃してしまう!俺は魔法を唱えるのを一旦止め、奴を追いかけようとした。


『あばよ、ガキどもォ――ぎ、ぎにゃああああッ!?』


 追いかけようとした直前、ブラウはいきなり叫んだと同時に身体がバラバラになっていった。よく見ると奴のいる傍らに大きな剣を持った一人の人物が立っている。その人物とは、アルベルトだった。


「へっ、俺がこのままお前を黙って逃がすとでも思っていたか?残念だったな』

『く、くそォ…俺が、こんなガキにやられるなんてェ…』


 バラバラになったブラウはそう言い、そのまま動かなくなった。…どうやら完全に倒されたらしい。またまたサンキュー、アルベルト。こういう時に仲間がいてくれると本当に助かるよ。


「ナオト、この青い奴は俺が片づけてやったぜ。そっちにいる赤い奴は任せた!」

「分かった、アルベルト!」


 俺は再び剣を構え、魔法を唱える準備に入る。俺の前方で倒れているロートは、ブラウとは違いやけに落ち着いた様子だ。逃げる気はないのか?


『ふん、ブラウがやられたか。あれ程騒ぐなと言ったのに…。奴は最後まで戦士として未熟な奴だったか』


 そう疑問に思っていると、ロートが口を開いてそう言った。こいつ、仲間がやられたというのに怒るどころか吐き捨てるような事を言ってきたぞ…。憎むべき敵とはいえ、何だかブラウが可哀想に感じた。


『だがこうなってしまった以上、もはや俺たちに勝機はない。…認めたくはないがナオト、この試合はお前たちの勝ちだ』

「…え?俺たちの勝ち、だって?」

『そうだ。正直、ここまで楽しめる奴がいたとは思ってもいなかったぞ』


 ――どうやらこの勝負、俺たちの勝ちのようだ。何だか実感が湧かないけど…でも、やったぞ!俺たちまたイレギュラーに勝ったんだ!

実生活が多忙だった影響で続きを書くのが遅くなってしまいました...

待たせてしまい、本当に申し訳ありません。

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