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王女を救出せよ!

 俺たち三人は、鳥かごのような見た目をした魔物と対面していた。あの魔物の中にはこの国の王女様であるベアトリスが囚われている。

 奴に取り込まれる前に、俺たちは何としてでも魔物を倒して彼女を救出しなければならない。


『そう言えば、自己紹介がまだだったな。俺様の名はケージ!あの方からこの町を破壊しつくすよう命令されてな、俺様は所謂「司令塔」って奴さ』


 『あの方』…?何やら気になる事を言ってきたな、こいつ。『あの方』とは何者だ?


「おい、『あの方』って誰なんだよ!?」

『ふんっ、だあれが貴様らなんかに教えてやるかよ!どうせ貴様らは俺様によってすぐ殺されるのだからな!』


 俺はケージとかいう魔物にその事について聞いてみたが、案の定俺に教えてくれる事は無かった。…くそっ、これ以上謎を増やさないでくれよ。気になるじゃないか。


「…おい、ナオト!上!」


 奴の言ってた『あの方』について気になっていると、アルベルトが俺に向かって叫ぶ。その声を聞いて我に帰り、上を向いた。

 上を向くと、ケージの腕が俺に向かって振り下ろしてくるのが見えた。


「おわわ、やばいっ!」


 俺はすかさず攻撃をかわす。ふう、間一髪回避といった所か。すまないアルベルト、すっかり油断してたよ。


『ふんっ、さすがにこの程度の攻撃は食らったりしないか。…ならば、これならどうだ!』


 ケージはそう言うと、奴のもう片方の手がアーム状に変形してまた俺に向かって振り下ろしてくる。さっきよりも腕を振り下ろすスピードが速く、一瞬のうちに捕まってしまう。

 俺は奴の腕に捕まったと同時に、後ろにある壁へ強く叩きつけられた。


「ああっ、ぐっ…」


 壁に叩きつけられた痛みで思わず声が漏れる。俺は奴の腕から急いで抜け出そうとするも、握力が強いせいで思うように体を動かす事が出来ない。


『ガーハッハッハッ!どうだ、これで貴様は動けなくなったぞ!このまま一気に握り潰してやろう!』


 ケージはアーム状になった手を使い、俺を強く握り潰そうとしてきた。くっ、なんて馬鹿力なんだ。全身の骨が砕けそう…!


「があっ、ああっ!」


 俺は痛みに耐えきれず声が出てしまう。何も出来ずただ苦しんでいると、横からアルベルトが飛び出してきた。


「ナオト、今助けるぞ!――はああああっ!」


 アルベルトは手に持ってる大剣を振り下ろし、奴の腕を一刀両断する。腕は分断されて俺は奴から抜け出す事が出来た。

 …た、助かったぁ。あともう少しで死ぬ所だった。


「ナオト、大丈夫か?」

「あ、ああ。何とかな…。これくらいまだ平気だよ」

「そうか、それは良かったぜ。…ナオト、まずは俺たちと一緒にあいつの手足を狙おう。そうすれば奴は動けなくなるハズだ」


 アルベルトは俺にそう提案した。確かにそれをやれば、奴は動けなくなるので一気にダメージを与えるチャンスが出来る。

 …だが、ケージはそんな俺たちを見て嘲笑っていた。


『グッグッグッ…。俺様の片腕を切断したくらいで勝ったつもりなのかぁ?残念、俺様にはこの力があるのだ!』


 ケージがそう言った瞬間、無くなったはずの片腕が元に戻っていく。こいつ、身体を修復出来る力を持っているのか!

 …くそっ、これじゃあいくら奴の手足を切断させたとしてもキリがないぞ。どうやって倒したらいいんだ?


『見たか?俺様の力を。俺様のような力を持つ者は、身体が傷ついても自力で治す事が出来るのだ。俺様の全身ごと破壊でもしない限り倒される事はないって事さ!』


 …奴の全身ごと破壊でもしない限り、何度でも復活出来る。俺はその言葉を聞いて、ふと以前戦ったあいつの事を思い出した。そう、ダミアンだ。

 ダミアンも神の力で変身した際、身体全部を木っ端微塵にでもしないと倒す事が出来ないと言っていた。ダミアンとケージは能力が似ている…。という事は、こいつも神の力を持っているのだろうか?

 とにかく、物理攻撃はいくらやっても奴には効かなさそうだ。だったら魔法で一気に仕留めるしかない。俺は剣を構えて魔法を放つ準備をした。


『おおっと、俺様に向けて魔法を放つつもりだろう?それはやらない方がいいと思うぜぇ?仮に俺様を魔法で粉々にやったとしても、この中にいる女も巻き添えを食らってしまうからな!』

「な…何だって?まさか脅しじゃないよな?」

『ふんっ、俺様がわざわざそんな事をすると思うか?残念ながらこれは真実さ。…ま、この女も犠牲になっていいのならやっても構わんがな』


 当然、俺にそんな事が出来るはずがない。俺は魔法を放つのをすぐさまやめた。

 物理で攻撃しても回復されるし、魔法で一気に倒したとしても中にいるベアトリスにまでダメージを食らってしまう。どうすれば…どうすれば、奴を倒せるんだよ!


「くっ、俺はどうすれば…」

「ナオト、諦めるな!先に姫を助けてしまえば問題はない!ここは私が姫を助ける!」


 シャルルは俺にそう言い、ケージに向かってまっすぐ走っていく。ケージは自分を近づけさせないよう腕を交互に振り下ろして妨害しようとする。だが、シャルルはそれを素早くかわしていった。

 剣と盾を両方とも持っているのに、凄いスピードだ。俺よりもずっと戦闘慣れしている…これは行けそうだぞ!頑張れシャルル!

 シャルルは奴の攻撃をかわした後、そのまま高くジャンプし奴の身体にある檻の部分に狙って剣を振り下ろす。…なるほど、先に檻を壊して彼女を助け出せば魔法を放つ事が出来るようになる。希望が僅かでも見えてきた。


『グググッ、そうはさせるかよっ!』


 だが、その希望は無残にも打ち砕かれた。ケージは自分の身体をフィギュアのように回転させ、攻撃を当たらなくさせたのだ。剣は奴の身体に命中はしたものの、ダメージを与えている感じはしない。恐らく、奴からすれば蚊に刺された程度でしかないんだろう。


「な、何っ!?」

『ガーハッハッハッ、残念だったなぁ!言い忘れてたが、俺様の身体は自由に回転させる事が出来るのだ』


 ケージは大笑いすると、また左腕をアーム状に変形させてシャルルの身体をガッチリと掴んだ。シャルルはさっきの俺と同じように身動きが取れなくなってしまう。


「シャ、シャルル王子ー!」


 アルベルトは彼を助けようと奴に近づく。だが、ケージは自分に近づかせまいと片足を使ってアルベルトを強く蹴っ飛ばした。


「がはっ!」


 ケージに吹っ飛ばされ、アルベルトは壁に激突する。気絶はしていないものの、壁に勢いよく叩きつけられた影響で動けない様子だった。


『ガーハッハッハッ、これで俺様は勝ったも同然よ!貴様らは後でじっくりと取り込んでやるわ!』


 ケージは勝利の雄叫びを上げていた。アルベルトもシャルルも動けない状態だ。この状態で戦えるのは俺一人しかいないが、俺が奴に立ち向かったとしてもあの二人のように何も出来ずダメージを受けてしまうのがオチだろう。

 …やはり、ここは最後の手段として魔法を使うしかないのか?いや、そんな事をすればベアトリスまでもが犠牲になってしまう。せめて犠牲が出ずに倒せる方法は…。やはり物理攻撃しかない。だが、今の俺では物理で倒せる実力は持っていない。


「シャルルー!みんなー!お願い、死なないでーっ!」


 ベアトリスの絶叫が闘技場に響き渡る。…力がもっと欲しい。皆を助け出し、悪い奴を倒す事が出来る力が。

 頼む、俺にもっと力を与えてくれ――!


「うわああああああ!!!」


 俺は大声で叫び、がむしゃらになって剣を振っていた。――と、その時だった。


『な、なにぃ!?』


 俺が剣を振っていると、突然そこからビームのような物が放出された。ビームは奴の左腕に真っ直ぐへと向かっていき、そのまま切断させる。左腕が分断された事により、シャルルを開放する事が出来た。

 …一瞬の出来事で、俺は何が起きてるのか全然分からなかった。俺はすぐさま剣の方を見ると、なんと剣が強く光り輝いている。いや剣だけじゃない、剣を持ってる腕ごと光り輝いていたのだ。

 これは…?まさか、俺が力が欲しいと強く願った結果なのだろうか?

久々の戦闘シーンです。やはり書くのは難しい…。

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