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トラブル発生?

 面倒な事になってしまった。ミントが、フリントのいる場所までおいでよと誘ってきたのだ。冗談じゃない、今彼女は服を一つも着ていない素っ裸な状態なんだぞ。ミントは同性だからともかく、俺のような異性が全裸の女性とご対面するなんてそれをやったらどうなると思う?普通だったら間違いなく殴られるだろう。

 …くそっ、俺はどうすればいいんだ?


「どうしたの、ナオちゃーん?フリント姉ちゃんがあなたに会いたいって言ってるよー?」


 だから、そんなの無理に決まっているだろ!せめてフリントが服を着替えてから呼んでくれないかなぁ。


「ナオト君、そこにいるの?恥ずかしがる事はないわ、男の子に裸を見られたからといって怒ったりはしないからこっちへいらっしゃい」


 …おい、それはマジで言ってるのか?まさか家族でもないのに裸を見られて平気な女の人がいるなんて…。世界は広いんだなぁ。とにかく、彼女がそこまで言うのなら勇気を出して会ってみよう。男は度胸!えーいっ!

 俺は目をつぶり、草むらから飛び出して前へと進む。次に俺が目を開けると、全裸のフリントが俺の目の前に立っていた。


「う、うわっ!?」


 俺は彼女の近くにいたもんだから、思わず驚いてしまう。胸の部分は手で隠していたので大事な所は見えていなかったが、それでもフリント特有のふっくらとした豊かな物は十分目立っていた。

 それにフリントは水浴びをしていたもんだから、全身がびしょ濡れになっていてとてもエロい。


「ふふっ、久しぶりねナオト君。相変わらず元気そうで安心したわ」


 フリントは驚いている俺に構わず微笑みながら話しかけてくる。…この人には恥じらいという感情は持っていないのか?

 俺は必死になってフリントがいる方に目を向けようとしたが、豊満な身体が目に入ってしまい直視する事が出来ない。思わず目を背けてしまう。

 ――正直に言おう。俺には刺激が強すぎる。


「どうしたのナオト君、顔が真っ赤になってるわよ?…ふふん、さては私の身体を見て惚れちゃったのね」


 ぐっ…図星だ。と言うかフリント、自分の身体に相当自信を持っているんだな。まあ実際フリントってスタイルはかなりいい方だけど。


「うーん、さすがにこのままじゃまともにナオト君と会話する事は出来ないようね。待ってて、今から服を着替えるわ」

「ああ、そうしてくれ…」


 フリントは俺の様子を見て察してくれたのか、全身をタオルでしっかりと拭いた後に服を着替えた。…ふぅ、これでやっと普通に話が出来そうだ。それにしてもまさか俺が女性の裸を見てしまうなんて、まるで夢を見ているかのようだ。漫画やラノベじゃあるまいし。


「…さ、着替えたわよ。改めて言うわ、久しぶりねナオト君」

「ああ、久しぶり。フリントも元気そうで何よりだよ」

「私はいつでも元気いっぱいよ。ところで、二人はどうしてこんなところまで来たの?」


 俺はフリントに、これまでの経緯を話した。


「なるほど、私に会いたくてここまで来たという事なのね。二人ともわざわざご苦労様」

「うん!ここにフリント姉ちゃんがいなかったらどうしようと不安だったけど、見つかって本当に良かった!」

「ああ、骨折り損にならず済んだよ。…あ、そう言えばちょっと君に聞きたい事があるんだけど」

「何?」

「俺たちがここへ来る途中、大きな岩が砕かれていたり木がボロボロになっていたのを見かけたんだ。あれってフリントがやったのか?」

「ああ、もしかしてあれの事?もちろん私がやったわ。…もしかして、驚かせちゃった?」


 やはりあれはフリントの仕業だったのか。ナラに負けず劣らずの馬鹿力っぷりだなぁ。…フリントが味方で本当に良かった。


「…まあ、最初はビックリしちゃったけど。でもあの感じだと相当鍛えているんだな」

「当たり前よ!だって私、この前の大会で負けてしまったのが本当に悔しいんだもの。だから、以前の私を超える為に頑張って修行をしているのよ」


 この前の大会っていうと、フリントがアルベルトという人物に負けてしまった時の事か。あの時は平然としていたけど、やっぱり心の中では悔しい気持ちでいっぱいだったんだろう。


「私からも聞きたい事があるわ。二人は今何をしているの?」

「ああ、俺は今ミントと一緒にギルドで仕事をしているんだ。俺が先輩になってミントに色んな事を教えながらやっているんだよ」

「ナオちゃんはね、いつもあたしに優しくしてくれるし、あたしが魔物に襲われそうになった時にはすぐ助けてくれるんだよ。だからナオちゃんと一緒にいるだけでもすっごく楽しい!」

「へぇ、そうなの。ナオト君も立派になったのね。えらいえらい」


 フリントにそう言われ、俺は笑いながら自分の頭をかいた。何度も思うが、人から褒められると気分がとてもいい。これからもミントを喜ばせる為に、俺がしっかりと彼女を支えてやらないと。


「…あたしね、初めてナオちゃんに助けてくれた時から密かにこう思ってたの。ナオちゃんはあたしの思い描く『王子様』にそっくりだって」


 またその話かよ…。頼むからその話だけはやめてくれ、こっちが恥ずかしくなってくるから。


「ナオト君が王子様、ね。…そう言えば私も、ナオト君と初めて会った時はファングに襲われてた私を助けてくれたわ。今でも感謝してるわよ」

「そうだったんだ、フリント姉ちゃんもナオちゃんに助けられた事があったんだね!やっぱりナオちゃんは正義のヒーローなんだなぁ。あたし、ますます憧れちゃう!」


 お、俺が正義のヒーローか。他人からそう言われるのは生まれて初めてだな…。俺は照れ臭くなり、また自分の頭をかいた。

 そんな俺を称える(?)会話がしばらく続いた後、俺たちはフリントと別れる事にした。そろそろ昼ご飯の時間になるから、早く帰らないと。


「それじゃあ俺たち、そろそろ町に帰るよ。今日は久しぶりに会えて楽しかったよ、フリント」

「私も久々に二人に会えて楽しかったわ。いつかまた一緒にギルドで仕事しましょうね。今度はミントちゃんも一緒に連れてね」

「うん、楽しみにしているねー!ばいばーい、フリント姉ちゃん!」


 俺たちはフリントと別れ、森から出て行った。まさかあそこでフリントの裸を見てしまうなんて夢にも思っていなかったけど、そこを除けばいつもと変わらない様子で安心した。

 …俺も彼女に負けないようしっかりと鍛えないとな。俺を支えてくれる皆の為にも。俺は心の中でそう決意した。

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