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緊急依頼発生!?

 町に戻る途中、モンスターに襲われていたフリントという女性を助け仲間に入れる事にした。フリントは自分を仲間に入れてくれた事が嬉しいのか、楽しそうに歩いている。

 これからはフリントとも交流を深めていかないとな。いずれ二人で行動する機会が出るかもしれないから。

 俺たちは町に戻るとすぐギルドへ行き、いつものように依頼完了の報告をした。ちなみにフリントも依頼を終わらせギルドに戻る所だったので、彼女も一緒だ。

 俺は受付の人にスライムのコアを渡した。


「はい、スライムのコアを確かに受け取りました」

「…あ!そう言えば、もう一つ渡したい物があったんです」

「はい。何でしょうか?」


 そういや、これも渡すのを忘れる所だった。俺はバッグからコピースライムのコアを受付の人に見せる。


「そちらは?」

「コピースライムって呼ばれるモンスターのコアです。洞窟に行った際に偶然そいつと出会って…。でも、俺一人でそいつをやっつけました」

「あら、まあ…」


 受付の人はきょとんした顔でコアを見つめていた。俺の予想通りの反応だったな。まさかDランクに到達したばかりの冒険者(しかも討伐はこれが初めて)がBランクの冒険者でないと倒せないという強敵を討伐したなんて思ってもいなかっただろう。

 これも神の力があったおかげだ。…ロゴスがさっきの光景を見て怒ってないか不安だけど。

 ちなみに、コピースライムのコアは渡す事は出来なかった。俺が今回討伐する対象はあくまで普通のスライムのみで、コピースライムのような亜種は含まれていないとの事だ。残念だが、それがギルドのルールなら仕方がない。これは記念として自分の部屋に置いておこう。

 俺は報酬を貰い、すぐ皆がいるギルドの入り口の所まで向かった。


「お疲れ様、ナオト。初めての討伐依頼はどうだった?」

「うーん、スライムを倒す事自体はそんなにきつくはなかったかな。ただ途中であんな奴に出会うなんて思ってもいなかったけど」

「ま、あそこはスライムの住処だしね。コピースライムのような亜種が出てきてもおかしくはないわ」


 コピースライムに遭遇したのは予想外だったけど、とにかく無事に終わってよかった。俺も少しずつではあるが、この世界に適応してきている。これからもこの調子で頑張っていきたい所だ。


「みんなー、お待たせー!」


 と、後ろからフリントがやって来た。どうやら依頼完了の報告が終わったようだ。


「これで全員揃ったわね。あたしたちはこれから家に帰って昼ご飯を食べるけど、あんたはどうするの?」

「私?私はこれからお店に行って昼ご飯を食べるわ。いつもそうしてるしね」

「そう言えばフリントって、自分の家は持っているのか?」

「持ってるわよ。ま、おんぼろな奴だけどね」


 おんぼろな家って、どんな感じなんだろう…。蜘蛛の巣とか普通に天井に張ってありそうだ。そう考えただけでも背筋がゾクッとなる。


「それじゃあ、あんたとは一旦ここでお別れね。次にあたしたちが会うのは明日、朝にギルドの入り口の前で集合よ!ちゃんと覚えてよね!」

「了解!じゃ、また明日ねー!」


 俺たちはフリントと別れる事になった。これからは彼女と一緒に依頼を受ける事になるんだな。より一層賑やかな冒険になりそうだ。

 そう思いながら俺は家に帰り、三人で昼ご飯を食べた。うん、やはり仕事が終わった後の食事は美味い。




 翌日、俺たちはいつものようにギルドへ向かうと入り口の前にフリントが立っていた。どうやらクリムが言ってた約束を覚えててくれたみたいだな。


「あ、ナオト君とクリムちゃんにナラちゃん!おっはよー!」


 フリントは俺たちの事に気づき大きく手を振ってくれた。朝から元気だなぁ、あの人は。


「おはようございます、フリントさん。今日もいい天気ですね」

「本当ね~。おかげで私は今日も元気いっぱいよ!君たちは元気あるわよね?」

「もちろん!」

「当然、あるわよ」

「はいっ!私もいつもと変わらず元気ですよ♪」

「ふふっ、みんな元気そうで良かったわ。それじゃ、ギルドに入るわよ!」


 俺たち四人はギルドの中へと入っていく。今日はどんな依頼を受けようか…と考えていたら、俺はギルドの様子がいつもと違う事に気づいた。いつもなら大勢いる冒険者たちが、今日は一人もいないのだ。皆どこに行ったんだ?


「なあ、皆どこに行ったんだ?いつもは俺たち以外にも冒険者がたくさんいたよな」

「…あ!ナオト君、あれを見て!ボードに何か貼ってあるわよ!」


 俺はフリントが指差した方を見ると、ボードに大きな紙が貼ってあるのに気づく。俺はボードの近くに行き、紙に書いてある内容を読んだ。内容はこう書かれていた。


『緊急依頼発生!突如暴れだしたブタチビを討伐せよ!』


「ブ、ブタチビだって!?」


 ブタチビと言えば、俺が初めて依頼を受けた日に森の中で出会ったあのブタのようなモンスターの事だ。…でも、ブタチビは草食系の生き物で人を襲うような事はしないとナラが言ってたはず。これはどういう事だ?


「ナラ、ブタチビって人を襲う生き物じゃないって前に言ってたよな!?」

「は、はい。でも変ですよね、ブタチビが突然暴れだすなんて…」

「確かに妙な話ね。ブタチビが暴れだすなんて生まれて初めて聞いたわ、あたし」

「私も聞くのは初めてよ」


 どうやら今までブタチビが暴れだしたケースは一度もないらしい。前例がないなんて、明らかにこれは普通じゃない。

 とにかく、俺たちも急いでその緊急依頼とやらを受けなくちゃ!


「すいません、緊急依頼を受けに来ました!」

「ナオト様ですね。他の冒険者は既に森の方に向かっています。気を付けて行って来て下さい」


 依頼の申請を済ませ、俺たちは急いで町から出た。




 町から出て30分後、向こうでたくさんの冒険者たちがブタチビと戦っている所を見かけた。冒険者たちは自分の持ってる武器を使いブタチビを次々と倒していく。今の所は冒険者たちの方が有利に進んでいるようだ。

 ナラはブタチビが人を襲っている光景を見て悲しんでいる様子だった。


「こんなの、絶対におかしいです。あんなに大人しいブタチビが急に暴れだすなんて…」

「悲しんでる暇はないわよナラ、あたしたちも加勢するわ!みんな、乗り遅れないようにね!」

「了解!」

「分かったわよ!」


 俺たちは一斉にブタチビに向かって走り出した。

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