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初めてのモンスター討伐!

 俺がこの世界に来て一週間が経過した。俺は毎日冒険者ギルドに行って依頼を受けたり、剣や魔法を使いこなせるように練習をたくさんやった。最初はこの世界で二度目の人生を送る事が出来るのか不安だったものの、今の所は大きな怪我やトラブルもなく充実した毎日を送っている。これもクリムとナラがいてくれたおかげだ。

 もしこの二人に会う事がなければ、今頃俺はどうなっていたんだろうか…。いや、その事を考えるのはよそう。


 とにかく、この世界に来て一週間後。俺は毎日ギルドの依頼をこなしていき、ついにEランクからDランクへとランクアップする事に成功した。またランクが上がった事により、俺のギルドカードが新しくなった。今度は緑色のカードだ。


「やりましたね、ナオトさん!これでDランクの依頼を受けれるようになりましたよ!」

「Dランクになれば、本格的に魔物の討伐が出来るようになるわ。今まで以上に厳しくなるけど、覚悟は出来てるわよね?」


 もちろん、覚悟は出来てるさ。その為に練習をあれだけやったんだ。

 さて、早速Dランクの依頼を見てみる事にしよう。えーと、どれどれ…。討伐対象はスライムにリザード、バットか。どれもそんなに強くは無さそうだな。


「ナオト、まずはどのモンスターを討伐するの?」


 最初に討伐するモンスターはもう既に決まっている。スライムだ。RPGでも序盤に出てくるモンスターは大体スライムだしな。とりあえずこれにしておこう。


「スライムの討伐にするよ」

「なるほど、スライムね。ま、今のあんたに一番向いてる奴じゃないかしら?スライムは基本的にどんくさい奴しかいないし、一部を除けばそんなに脅威はないからね」


 やはりスライムが一番弱そうだな。これを選んだ俺の目に狂いはなかった。こういう所も何かゲームっぽいなぁ。


「スライムがいるのはこの町から歩いて西の方角にある洞窟です。それでは、頑張って行きましょう!」


 俺たちはスライムを討伐するため、洞窟へと向かう事になった。初めてのモンスター討伐だから、何だか緊張してきた…。果たして、俺は無事にこの依頼を完了出来るのだろうか。




 町から出て30分、俺たちはスライムがいるという洞窟へとたどり着いた。相変わらず目的地に着くまでの時間は長いが、色んな場所を歩いてきたからか疲れる事はなくなった。慣れって恐ろしい。


「そういやナオト、さっき言うの忘れてたけどモンスターを討伐した際に必ずやらなきゃならない事があるの」

「必ずやらなきゃならない事って?」

「討伐した証拠として、モンスターの体の一部を持ち帰る事になっているんです。例えばファングだったら牙、リザードの場合は尻尾といった感じですね」


 なるほど、そういうルールがあるのか。…ん、ちょっと待って。今回俺が討伐するのはスライムだけど、あいつの場合はどうなるんだ?倒したらすぐ跡形もなく消え去りそうな奴だが…。


「なあ、スライムの場合は何を持ち帰ればいいんだ?」

「スライムの体にある、コアと呼ばれる球体の形をした奴を持ち帰るのよ。あいつは倒したらすぐ蒸発してしまうけど、コアの部分だけはそのまま残るわ」


 なるほど、コアと呼ばれる部分だけが残るのか。これで疑問はなくなった。それじゃあ、さっさと倒しに行くか。

 俺たちは洞窟の中へと入っていった。中は薄暗く、じめじめとしている。いかにもモンスターが住処にしてそうな場所だ。中を歩き続けていると、途中で道がいくつかに分かれてる場所に着く。うーん、これは迷うな。どれが正解なんだ?


「道がいくつかに分かれてるわね…。確か、ここは左に行くのが正解だったはずよ」


 よし、左か。こういう時に仲間がいてくれると本当に助かるなぁ。もし一人でこの洞窟に来てたら、間違いなくここで積んでたかもしれない。俺は二人がいてくれた事に感謝しつつ、洞窟の中へと進んでいった。

 そして、洞窟の中を歩き続けて数分後。


「…ん!二人とも、ちょっと待って!」


 俺たちの目の前に、水色のぶよぶよした物体が現れた。その物体をよく見ると、赤い色をした球体が中に入っているのが分かる。これはひょっとして…。


「あれ、もしかして…」

「そう、あれがスライムよ!ナオト、逃げられる前にやっちゃって!」


 やはりあれはスライムのようだ。よし、俺がやっつけてやる!

 俺は急いでスライムの所まで駆け寄るも、スライムは俺の事に気づいてしまい全速力で逃げていく。くそっ、逃げ足は結構早いんだな。


「ナオト、急いであいつを追いかけて!ここで逃がしたら面倒な事になるわよ!」

「分かった!」


 俺たちは急いでスライムが逃げて行った方向へと向かった。あいつ、一体どこまで逃げる気だ?

 ひたすらに奴の後を追っかけて行くと、やがて俺たちは巨大な空間にたどり着いた。そして、そこにいたのは…。


「うわっ、なんじゃこりゃ!?」


 俺はその光景を見て仰天した。そう、スライムが10匹や20匹、いやそれ以上に部屋を埋め尽くすほどたくさんいたのだ。

 あんなにたくさんいるという事は、ここがスライムの巣って訳か。…俺はあいつらをまとめて倒す事は出来るのか?体全体に震えが走る。脅威はないモンスターだという事は知ってるけど、それでもあんなにたくさんいたら恐怖を感じてしまう。


「ナオトさん、大丈夫です!練習の時を思い出してください!」

「数は多いけど、どんくさい奴には変わらないわ!あんなのファングに比べれば楽勝よ!」


 恐怖を感じていた俺を、二人は精一杯激励してくれた。…大丈夫だ、練習の時を思い出せば絶対に行ける。俺は自分自身に言い聞かせながら、腰に差してある鞘から剣をゆっくりと抜く。

 俺は呼吸を整え、勢いよくスライムに立ち向かっていった。


「おりゃあああああっ!!」


 俺はスライムを一匹一匹確実に倒していく。スライムはかなり脆く、剣を一振りするだけで楽に倒す事が出来た。これなら、俺一人でも行けそうだ!

 途中でピンチに陥る事もなく、俺はスライム全匹を倒す事に成功した。


「はぁ、はぁ…。これで全匹か」


 地面にはスライムの体にあったコアと呼ばれる球体があちこちに散らばっていた。まさかスライムをこんなにいっぱい倒すだなんて思ってもいなかったよ。


「ナオトさん、お見事です!練習の成果が出たみたいですね!」

「どうやらあたしたちの助けもいらなかったようね。よくやったわ、ナオト。それじゃあ、後はその地面に落ちてるコアを回収して」


 二人が俺の事を褒めてくれた。やはり人から褒められると、とても嬉しい。これだけでも頑張ろうって気持ちが湧いてくる。

 さて、スライムを倒した後は証拠品の回収だ。さすがに全部は持ち帰る事が出来ないから、3個ぐらいで十分だろう。俺は自分のお金で買ったバッグを使い、コアを回収しようとすると…。


「待ってください、ナオトさん!後ろに何かいます!」

「ん?」


 俺は後ろを振り返ると、そこにはオレンジ色のスライムと思われる物体がいた。よく見ると普通のスライムより一回り、いや二回り大きい。なんなんだコイツは…!?

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