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薬草を探す旅へ…

 俺たちは依頼に書いてあったルオナグス草という薬草を探しに行くため、町から出た。場所はこの町から離れた所にある森にあるらしい。

 俺はひたすら草原を歩いていたが、一向に森らしき物は見当たらない。どんだけ遠いんだよ。


「なあクリム、ナラ、あとどれだけ歩いたら森に着くんだ?」

「まだまだって所ね。そうね、あと30分くらい歩けば着くと思うわ」


 えぇっ、30分!?まだそんなにかかるのかよ。そう思うと途端にやる気を無くしてしまいそうだ。ああ、こんな時に乗り物があればいいんだけどなぁ。俺はここに来て乗り物の偉大さを再確認した。

 でもこの世界には乗り物なんてあまりなさそうだ。せいぜい馬車ぐらいか?あるとすれば…。


「あの…。大丈夫ですか、ナオトさん?」

「え?ああ、まだまだ元気だよ。気にしないで」

「あまり無理はしない方がいいですよ?まだ時間はたくさんありますから」


 ナラは俺の事を心配してくれているようだ。相変わらず優しい子だなぁ、ナラは。


「クリムさん、一回どこかで休憩でも取りませんか?ナオトさん疲れているみたいだし、それに休憩を取ってから森へ行くのも遅くはないと思います」

「えー、休憩するの?ナオト、あんたノーヅァンから一人でここまで歩いてきたんだからこれくらいどうって事ないでしょ」


 ああ、俺がノーヅァンっていう国からやってきたとかいう話はしないでくれ…。咄嗟に誤魔化した自分を憎んでしまいそうになるから。


「ま、しょうがないわね。ナラの言う通り時間はまだあるんだし、一度どっかで休憩でも取りましょ。ヘトヘトになってるあんたを見てたらこっちまで疲れがうつってしまいそうだしね」


 一言余計な事を言ってる気がするが…。どうやら、途中で休憩を取る事になったそうだ。よかったー、これで疲れが取れそうだ。

 俺たちは近くにあった大きな木まで向かい、そこで休む事にした。木陰の場所に座っているからとても涼しい。

 休憩を取っている途中、クリムとナラは何やら楽しそうに会話をしていた。…そういやこの二人、いつからの付き合いなんだろう?姉妹って訳でもなさそうだし、もしかしたら幼馴染だったりするのかな。ちょっと聞いてみるか。


「クリム、ナラ。ちょっと聞きたい事があるんだけど。二人って昔から仲が良かったのか?」

「何よいきなり?ま、別にいいけど…。そうね、あたしとナラは昔からの付き合いなの。小さい頃はよく二人で外に行って遊びに出かけたりしてたわ」

「お花畑でお花を摘みに行ったり、川に行って水をかけあいながら遊んだりとか色々ありましたね。あの頃が懐かしいなぁ」


 クリムとナラは俺の予想してた通り、昔から仲が良かったそうだ。いいなぁ、こういうの。俺も昔は外に行って友達とよく遊んでたっけ。その友達とは中学に入った際に遠い場所へ引っ越したから会わなくなったけど…。


「ところで私、いつもクリムさんに助けられる事が多いんです。私って弱い人間だから、一人では何も出来なくて…」

「ナラ、あんたは言うほど弱い人間じゃないと思うわ。大きな岩を一人で持ち上げられるほどの力を持っているし」

「ク、クリムさん!その話をナオトさんの前で話さないで下さいっ!」


 …ナラって、大きな岩を持ち上げられる力を持っているのか。穏やかな印象しかないからギャップが凄いな。背中に大きな剣を背負っているのも納得出来る。


「あ、あの…すいません、急に大声を上げちゃって。ナオトさん、今の話を聞いて私が怖くなったりしていませんか?」

「別に怖いと思ってはいないけど」

「本当ですか?…ほっ、よかったぁ。私、生まれつき力が強いからそのせいで男の子を怖がらせてしまう事が良くあるので…。だからナオトさんが怖がらないと聞いて私、安心しました」


 どうやらナラは、過去にたくさんの男の人を怖がらせてしまった事があるらしい。…ナラに失礼だが、男の人が怖がる理由も分かる気がするな。あんな華奢な体をした女の子が実は怪力だったら誰でもビビる。

 実際、最初にナラと出会った際に背中に背負ってた大きな剣を見て少しだけギョッとなってしまったし。


「さて、十分休憩も取れた事だしそろそろ出かけるわよ。二人ともいいわね?」


 二人の事について話をしているうちに休憩の時間が終わったようだ。十分休めたし、出かけるとするか。

 俺たちは再び目的地の森まで向かい歩き出した。




 クリムの言う通り、歩いて30分ぐらい経ちようやく森にたどり着く事が出来た。森という事もあって辺りはたくさんの木に囲まれており、鬱蒼とした感じがする。

 さて、この森にルオナグス草は咲いているのだろうか。ここに来て何もなかったら骨折り損になってしまうからな…。

 俺はこの森に目当ての薬草が咲いている事を祈りつつ、森の中を歩き始める。――と、その時だった。


「っ!?」

「どうしたの、ナオト?」


 突然、どこかからガサガサと音がなった。俺はその音を聞いて思わずビクッとなり、無意識に構えを取る。ここは森の中だから、凶暴なモンスターが飛び出してきてもおかしくはない。

 俺は緊張した状態のまま身構えていると、森の中から何かが現れた。その正体は…。


「…へ?」

「なによ、ただのブタチビじゃない」


 俺は森の中から現れた何かを見て拍子抜けする。俺たちの目の前に現れたのは、豚に似た小さな生き物だった。どうやらブタチビという名前の生き物のようだが…。


「ブタチビって、あれの事か?」

「はい。主に森の中に生息している草食系の生き物です。小さな足でトコトコ歩く姿がとっても可愛いんですよ~。あ、人を襲う事は一切しませんから安心して下さいね」


 なんだ、凶暴な奴ではないのか。驚いて損した。ブタチビは俺たちの事を見ていたが、すぐ興味を無くしたのかどこかへと去っていった。

 俺たちは気を取り直し、薬草を探し続ける。途中で色んな生き物に遭遇しながら奥へ進んでいくと、向こうから青く光っている何かを見つけた。あれは何だ?


「見つけたわ!ナオト、あれがあんたの探していたルオナグス草よ」


 どうやらあれがルオナグス草と呼ばれる薬草のようだ。よかったぁ、骨折り損にならなくて。今は無事に見つけ出しただけでも嬉しい。

 さあ、後はあの薬草を採取してギルドに持っていけば依頼は完了だ。

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