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冒険者ギルドに入ろう!

 冒険者ギルド『グロース』の中は、俺が思っていたよりも明るい所だった。仲間同士で仲良く会話をしている人たちや、ボードに貼ってある紙を見ている人、カウンターにいる受付の人と話をしている人。色んな人がいるが、どの人も和やかな雰囲気が出ている。

 ここなら、俺でも安心して行けそうな…そんな気がした。


「ナオト、ギルドに入ったらまずはカウンターに行って来て。そこにいる受付の人がギルドの事について親切に説明してくれるわ」

「分かった」


 俺はクリムに言われた通り、カウンターへと向かった。受付の人は若い女の人で、とても綺麗だ。


「すいませーん、ちょっといいですか?」

「こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」

「俺、ここのギルドに入りたいんですけど、冒険者になったばかりだからよく分からなくて…」

「かしこまりました。それでは、冒険者ギルドについて簡単にご説明いたします」


 俺は受付の人からギルドについての説明を色々と聞く事にした。まず、冒険者ギルドというのは依頼人から頼まれた仕事を引き受け、それをこなしていってお金を稼いでいくという物だ。

 ギルドに入りたての頃は簡単な依頼しか受ける事は出来ないが、地道にこなしていけばギルドランクが上がっていき色んな種類の依頼を受ける事が出来るようになるらしい。

 …昨日から思っていた事だけど、ゲームの設定まんまだな。まるで自分がゲームの世界に閉じ込められたような感覚だ。


「以上でギルドの説明は終わりです。何か気になる点はございますか?」

「いや、ないです。十分理解出来ました」

「かしこまりました。では次に、登録に入ります。まずはこちらの用紙に書いてある必要事項をよくお読みになりながらご記入下さい」


 受付の人はそう言うと、俺に一枚の用紙とペンを渡した。文字を読む事に関しては問題ない…のだが、書く事は果たして出来るだろうか。文字を読むのと書くのとでは全然違うからなぁ。

 俺は少しだけ不安になりながら名前の欄の所に自分の名前を書いてみる。そして、俺は受付の人に自分の名前がちゃんと読めるかどうかを確認してもらう事にした。


「すいません、これ俺の名前なんですけどちゃんと読めますか?」

「…ナオト様、で合ってますね?」

「はい、そうです」


 どうやら杞憂に終わったようだ。俺はこの世界の文字を読むだけではなく、書く事も出来るようになったらしい。なんてご都合主義なんだ…。まあ、面倒な事にならなくてよかったけど。

 俺はその後、必要事項に書いてある事をしっかりと読んで書き、用紙を受付の人に返した。


「それでは、ただいまからナオト様のギルドカードをお作りします。少々お待ちくださいませ」


 ギルドカード…。これも何かのゲームで聞いた事のある奴だな。俺はしばらく待っていると、受付の人がカードを一つ渡してくれた。どうやらこれがギルドカードのようだ。色はシンプルな青色で、表には自分の名前が書いてある。裏側を見ると、ラジオ体操のカードのようにマス目が分けられていた。

 恐らく、依頼を一つ達成していく度にハンコが一つ押されるという感じになるんだろう。


「以上でギルドの登録は終了になります。それではナオト様、良き冒険者ライフを」


 登録も終わり、これで俺は冒険者ギルドで働く事が出来るようになった。俺は二人の所に戻ってその事を報告する。


「どうだった?」

「ああ。問題なく、登録出来たよ」

「それは良かったです。これでナオトさんも私たちと同じ冒険者ギルドの仲間入りですね!では、あちらのボードが貼ってある場所へ行きましょう!」


 俺たちはボードが貼ってある場所まで向かった。ボードには依頼の内容が書いてある紙がたくさん貼ってある。


「あんたはギルドに入りたてだから、まず受ける事が出来るのはEランクの依頼だけね。Eランクの依頼はこっちよ」


 俺はクリムにEランクの依頼が貼ってある場所へと案内して貰った。


「あったわ、これよ。ナオト、最初はどれにする?」


 Eランクの依頼は「薬草の採取」、「小型害獣の駆除」、「魚を釣る」などといった比較的簡単な物ばかりだ。さて、まずはどれにしようか。

 俺は真剣になって考える。うーん…。よし、これにしよう!


「クリム、最初はこの依頼でいいかな?」


 俺はボードに貼ってある一枚の紙を指差しながら言った。


「決まったの?どれどれ…。『ルオナグス草という薬草を採取して欲しい』という依頼にしたいのね?」

「ああ。この依頼が一番簡単そうだと思ったから、最初はそれからやってみたいんだ。いいよな?」

「もちろんいいわよ。じゃあ、その依頼の紙を受付の人に見せてきて」


 俺は依頼の紙をボードから取るとそれを持ってカウンターに行こうとした…が、その前に一つ気がかりな点があった。


「なあ、これを持っていく前に二人に頼みたい事があるんだけどいい?」

「いいけど、どうかしたの?」

「…俺、三人で一緒にこの依頼を受けたいと思っているんだ」


 俺が今から受けようと思っているこの依頼は比較的簡単な物とはいえ、他所の世界から来たばかりの俺からすればとても難易度が高い物に感じる。目的の薬草がある場所は依頼の紙に書いてはいたものの、俺この世界の土地とか全然知らないからな…。一人で薬草を探しに行ったとしても、途中で迷子になってしまうのがオチだろう。

 だから俺を含む三人と一緒に依頼を受けようと思った。クリムとナラはこの世界の住民だから薬草の場所とかすぐに分かりそうだし、それに皆で行った方が賑やかになりそうだしな。


「ナオトがこれから受ける依頼を、あたしたちも一緒にやれって事?」

「ああ、そういう事。俺、まだ知らない事がたくさんあるからさ、二人がいてくれた方が心強いかなって思ったんだけど…。ダメ?」

「私は大丈夫ですよ。ナオトさんの役にたてるよう、精一杯頑張りますから!」

「…ま、さっきあんたに最初の内はあたしたちに甘えてもいいとか言ったしね。いいわ、一緒にやってあげる」


 二人も一緒にやってくれるようだ。よかった、これで安心して依頼を受ける事が出来るぞ。二人とも、ありがとう。

 俺はカウンターに行き、さっきの受付の人に俺が持ってる依頼の紙を見せる。そして依頼の申請を済ませ、無事に許可を得る事が出来た。


「申請の方が終わったようね。それじゃ、ルオナグス草を探しに行くわよ!薬草の場所は知ってるから、あたしたちにしっかり付いていきなさいよ。分かった?」

「分かったよ。よろしくな、二人とも。頼りにしてるから」

「はい♪ナオトさん、楽しくやりましょうね!」


 さあ、いよいよ冒険者生活のスタートだ。皆で力を合わせて頑張るぞ!

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