家政婦のローザ
朝、日が昇る前の午前4時半。
家政婦、ローザは目を覚ます。
(因みにアメリカでは家政婦をハウスキーパーと呼ぶ)
欠伸を噛みころしながらバスルームに向かい、トイレを済ませて手を洗い、次いで顔を洗って歯を磨き、髪を整え、そして…少しだけ、メイクを。
そして、パジャマから家政婦の服(所謂、メイド服に近い)へと着替えを済ませて…
午前5時、ローザはキッチンへと向かった。
「さて、今日の朝食はどうしたものかしら…」
そう呟きながら、パンの種類を眺めつつ、冷蔵庫の中身を吟味する。
少しだけ考え、
「今日は坊っちゃまの好きなクロワッサンに、一口オムレツとサラダにしますか!」
そう呟いて、早速材料を準備し、調理に取り掛かった。
オムレツに使う野菜を切り、ひき肉を準備し、卵を割って解きほぐす。
すると、不意に声をかけられて。
「やあ、ローザ」
何だか楽しげな男性はフアン。
彼は家政婦のローザ同様、この家に仕えて働いている。
筋トレ好きで、筋肉質な身体と茶色の短髪に青い目をしたそこそこイケメン。
この家に仕えているが故、4つ年下ではあるが、家政婦のローザとは親しい関係で、良く色々話しては盛り上がっている。
「あら、フアン…今日は早起きね?」
フアンは朝に弱いのか、いつもはギリギリまで寝こけている。
「ああ、たまにはね…それより、手伝う事あるかい?」
フアンはローザのオムレツ作りを眺めつつ、笑って尋ねる。
「そうね…じゃあ、ナイフやフォーク出しておいて貰える?」
ローザがオムレツを皿に移しながら、穏やかに答える。
「わかった、任せろ」
フアンは指でグッドマークを作り、ローザに見せた。
ローザはそれを見て楽しげに笑いながら、2つめに取り掛かった。
ついで、ナイフやフォークを出し終わったフアンに皿にクロワッサンを二つずつ置くように頼み、ローザはてきぱきと次々にオムレツを作っていた。
すると、奥様の長男のダニエルが起床して来た。
「おはようございます、ダニエルお坊ちゃま」
ダニエルは大企業の社長をしているエリートで、長身で茶髪に濃い青目の割とイケメンな42歳。
「ああ、おはようローザ…相変わらず早いねえ」
寝癖でぼっさぼさの頭をボリボリしつつ、大あくびをかますダニエル。
「そりゃそうですよ、坊っちゃま…私は家政婦ですからね」
ローザは笑ってそう答え、人数分の一口オムレツを作り終えるとサラダ作りに取り掛かった。
「ダニエルお坊ちゃま、奥様や弟君が起きられる前に身だしなみを整えていらしたら?」
サラダの野菜を切りながら、いつの間にかソファに座り込むダニエルに話かけた。
「…ああ、そうだな…そうしてくる」
ダニエルはゆっくりと立ち上がり、面倒くさそうにバスルームへ向かった。
ローザが野菜を切り終えたころ、次男のアレックスと妻のエリッサが起床して来た。
アレックスはダニエルの会社と提携する会社の部長で明るい茶髪に茶色の目、ソバカスがある割とイケメン。
「おはよう、ローザ…今日も素敵だよ」
アレックスがそう言って笑いかければ、ローザは嬉しそうに顔を綻ばせて。
「んもう、アレックス坊ちゃま…私なんか褒めたって、何もでませんよ?」
「オムレツ、二つにならないかい?」
アレックスがそう言うと、ローザは少し笑って、オムレツを追加して上げていた。
「ありがとう、ローザ」
アレックスはそう言って、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
「おはよう、ローザ」
エリッサは濃い茶髪に茶色の目、面長な顔立ちの美人。
「おはようございます、エリッサ様」
ローザはてきぱきとサラダをとりわけながら、軽く会釈をする。
朝食が出来上がる頃には、奥様のメアリー、ダニエルの妻のミリアム、ダニエルの息子アレンも起床して身だしなみを整えて、椅子に座る。
座ったのを確認し、ローザは食事をそれぞれの前に運び、終わると奥様の斜め後ろでフアンと共に待機する。
それぞれが朝食を食べ終えて全ての片付けを済ませると、ローザとフアンは余ったオムレやサラダを食べ、軽い朝食をとっていた。