第八話「決闘②」
楽しんで頂ければ幸いです。
「え、えぇ! 勿論よ! じゃあ、こっちから行くわよ!――精霊よ、私に力を……火よ!」
彼女が生み出した火の玉が俺に向かって飛んできた。が、火の玉は俺の1m程横を通り過ぎていった。えぇ……。彼女の顔が赤くなっている様な気がする。
「ちょ、ちょっと! 男なら男らしくもうちょっと近寄りなさいよ!」
ふむ、近寄れと言われて近寄る奴なんて居ない訳で。さて、どうするか。俺、まだ武器無いんだよなぁ。素手で戦うにしても近寄ったら流石に当たるよなぁ。……そうだ!
取り敢えず動き回る。そして彼女が魔法の詠唱に集中した隙に……今だ! よし。準備は出来た。後は……
「あれ? なんか全然当たらないですね……? かすりもしないですよ。もしかして、当てられないんですか? 世界一の魔法使いさん?」
「な、何ですって! もう許さないんだから!」
――かかった!
彼女が距離を詰めてきた。魔法を外さない為だろう。俺は後ろに下がる。ゆっくりだ。徐々に距離が詰まる様に速度を調整して……彼女が距離を詰めてくるのを辞めないようにする。
……そして
「ふげっ!」
「よしっ!今だ!」
俺は彼女を組み伏せた。勝負は有りだ。
どうなったのかを簡単に説明すると、俺は最初、詠唱の隙に地面の草を結んで幾つかの罠を作っておいた。転ぶようにな。次に、彼女を煽った。注意力を失わせるのと、誘導の為だ。後は罠の場所に誘導した。彼女は転び、上に乗って組み伏せた。とまぁ、こういうことだ。
「俺の勝ちです。約束は守って下さいね。本当にこれっきりですよ」
「……ふぇぇ」
え?
「うわああああああああん!!」
ええええええええええ!? 泣くなよ! 俺が悪いみたいじゃないか!
取り敢えず慰めよう。人通りが少ないとはいえ、これはまずい。この絵面はとてもまずい。今の状況? 俺が彼女を組み伏せ、彼女は大泣き。……ね? 絵面がとてもまずいでしょ? 取り敢えず彼女から離れた。
「あの、泣かないで下さい。男が女に喧嘩で負けるのは普通ですよ」
「うぅ……ありがとう……貴方優しいのね……」
こいつ……チョロいっ! まぁ、泣き止んだし良しとしよう。
「では、落ち着いたようですし僕はこれで失礼しますね。では」
「あっ! ちょ待……」
危なかった。あんなの危険すぎる……。一歩間違えたら衛兵行きだったな。疲れた……。
適当に薬草を採取して、今日は宿に帰ろう。そして早めに寝よう。もう俺は疲れたよ……。はぁ。
その日は結局夕方まで薬草を採取して、宿に帰って水浴びと洗濯をして、晩飯食って寝た。おやすみなさい。
決闘に勝った主人公。只の高校生がなんでこんなに強いんですかね……。と、書いてる途中で思いました。
次の更新は明日の夜です。




