第三十一話「テストの日」
大変お待たせしてすみません……。
楽しんで頂ければ幸いです。
……遂にこの日がやってきてしまった。
響き渡る咆哮。爆発音。剣と剣がぶつかる音。
今日はテスト初日だ。武道科目を中心としたテストは初日に行われる。にげたい。今すぐ逃げだしたい。
「うわぁぁぁぁぁ! 嫌だぁぁぁぁぁぁ!」
ガッ
「ぐえっ!」
服の位置が固定され首が絞まった。誰かが俺の襟を引っ張ったようだ。……と、言っても犯人は分かっているが。
「シルフィード……」
「朝から何度目よ。風人。そろそろ諦めなさい」
シルフィードはそうやって俺を咎めてくる。ちなみにこの流れは今日五回目である。
「いや、だって武道って……無理に決まってるだろ!」
「駄々こねても仕方ないでしょ。何言ってもテストは始まるの。ほら。行くわよ」
無慈悲な……。
神様、救いはないんですか!?
……そういや神ってあのクソ女神だったわ死ね。
――桐山……風人! 桐山風人! 早く待機場所に来い!
アナウンスが響き渡った。行かなきゃ……はぁ……。
――
――――
「すみません。お待たせしました」
「逃げたかと思ったぞ」
ガドー・ザルド先生がそんな冗談を言ってきた。やだなぁ。逃げる訳無いじゃないですか。HAHAHA。
「ほら。あそこにいるのがお前の対戦相手だ。ルールは死や冒険者家業廃業に至る程の怪我をさせるな。それだけだ。まぁ、そうだな。頑張れよ」
「わ、分かりました……」
若干笑顔がひきつった。なんだそれ……。
ん? なんかガドー・ザルド先生、態度が変だな。可哀想な人に接している様というか……
「どうかしました?」
尋ねると先生は明後日の方向を向いて呟きだした。
「いや、まぁ、あのな。お前の対戦相手な。とある名家のご令嬢で、もの凄く強い。お前武術の授業の成績下の上くらいだからな……」
ポンッ
俺の肩に左手を乗せて、右手の握り拳の親指を立て、笑顔で一言続けた。
「まぁ、頑張れ」
次からバトルシーンです。次回もお楽しみに。




