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第三十話「テストの告知」

 楽しんで頂ければ幸いです。

 入学してから三週間が経った。今日も変わりなく学校へと足を進める。

 

 ……一つ、変わったことがあるとすれば、俺が魔法を自由に扱える様になったことくらいだろうか。

 

 「よし。お弁当も出来たし、行くわよ。風人」

 

 シルフィードがそう促し、揃って家を出た。俺は今から昼食の時間が楽しみでならない。

 

 「やぁ! 風人じゃないか!」

 

 登校の道すがら、声を掛けてきたのはクラスタだ。今日も爽やかイケメンだなぁ……やめよう。劣等感で死にそうだ。

 

 ふぅ。やっと着いた。

 

 前方を見やるとそこにあるのは通い続けて三週間になる学び舎だ。ちなみにこの世界に土日は無い。なので本当に三週間通いっ放しである。

 

 玄関を過ぎ、廊下を通り、教室へ入るとそこには既にクラスメイトがほぼ揃っていた。もう少し早く来れば良かったかな。

 

 荷物を置き、席に着いて間も無く、我らが担任の先生が入ってきた。

 

 「HRを始めるぞ! 席に着け!」

 

 ガドー・ザルド先生が声を発すると皆言葉に従い席に着いた。俺も例外では無い。

 

 今日が始まる。この感覚は学校に通う者しか分からないだろうが、このHRを聞いて、「今日が始まるなぁ」と思うのが最近の日課である。さ、授業の準備でもするかなぁ。

 

 …………

 

 ……………………

 

 ――キーンコーンカーンコーン

 

 下校前の鐘が鳴った。今日も一日頑張ったなぁ。

 

 ふと、掲示板が視界に入った。数枚の紙が貼られている。その中の一つが見覚え無い物だったので指差し、シルフィードに聞いてみた。

 

 「シルフィード。これって……?」

 

 紙には、戦う男達の絵が描かれていた。

 

 「……? テストの告知じゃない。それがどうしたの?」

 

 「えっ!? テストって問題を解くだけじゃ……?」

 

 「勿論それもあるけれど、そんなに重要じゃ無いわ。ここは冒険者を育てる学校であって商人を育てる学校ではないもの。武道の方が得点が高いの。だからその紙にも武道テストの絵が描かれているでしょう?」

 

 えぇ……。テストなら百点満点は余裕で取れる自信があるけど……武道のテストか……。はぁ。気が重いなぁ。日付は……明後日じゃないか!

 

 終わった……完全に終わった……。取り敢えず家に帰ったら腹筋でもしよう……。

 

 一夜漬け、という言葉があるが、俺は「二夜漬けで頑張ろう」そう決意した。

 

 ちなみにシルフィードはどうなんだろう……?

 

 「シルフィードはバッチリ?」

 

 「当然よ! 武道テスト、とは言うけど結局は本気を出して戦って自分の限界を見せろってことなのよ。だから魔法も使ってOK。私の魔法で相手はすべて燃やし尽くすわ」

 

 テスト対策は万全のようだ。「燃やし尽くしたらアウトじゃね……?」と思いつつも若干怨めしい風人であった。

 さぁ。次話からいよいよテストです。主人公はどうなるのでしょう。ボコボコにされて終わるのか……それとも……?

 次回もお楽しみに。

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